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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第28章 厄介物




『ひなたさん?』
「あ、すみません・・・。忙しく・・・ありませんか・・・?」

相変わらず心臓は収まることを知らない。
必然的に呼吸が苦しくなるが、それ以上に嬉しくて。

『大丈夫ですよ。どうかされましたか?』

そういえば話すことなんて考えていなかった。ただ彼の声が聞きたい。その一心だったから。

「あ・・・えっ、と・・・」

必死に言い訳を探すが、当然の如く見つからなかった。

「・・・透さんの声が・・・聞きたくなって」

仕方なく正直に理由を話して。彼が呆れてしまったらそれまでだ。
こんな面倒くさい女、私だったら相手にしたくないけど。

理由を話して数秒後、彼から言葉は何も返ってこなくて。

やっぱり呆れられてしまった。
あんな面倒なこと言うんじゃなかった。

今更後悔したって遅いのに。

「と、透さん・・・」

謝ろうとして、恐る恐る彼の名前を口にした。
これで嫌われてしまったらどうしよう。自業自得なのに、そんな不安ばかり出てきて。

「あの・・・すみま・・・」
『・・・丁度僕も、同じことを考えていました』

謝りかけたその時、私の言葉へ被るように透さんが話して。

その言葉に心臓が大きく跳ねた。

透さんも・・・同じことを。

感じたことのない気持ちに、胸がいっぱいになった。

『似たもの同士ですね』

昨日、あんなに失礼な態度をとったのに。
彼はいつも通り話してくれて。

安心感と共に罪悪感が募っていく。

「です、ね・・・」

泣きそうな笑顔でそう呟いた。

会いたい。
会って今すぐ彼の体温を感じたい。

触れ合って、キスをして。
透さんをずっと感じていたい。

『風邪など引かれていませんか』

その言葉に、一瞬ドキッとしてしまって。

ここにいなければ正直に答えていたかも、なんて思うと少し悔しい思いも出てきて。私の中の透さんへの思いは、日に日に貪欲になるようだった。

「・・・大丈夫です」

喉がやられていなくて助かった。会っていれば直ぐにバレるけど、声だけでは判断できないだろうから。



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