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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第28章 厄介物




素直に受け入れてしまったことに罪悪感はあったけど、彼になびかない自信はあったから。唇が離れても名残惜しさはなかった。

「風邪は他人に移すと治る、と聞いたことがありますので」

それを素直に受け取るとしたら、沖矢さんがこの風邪をもらってくれるということか。
・・・それは少し勘弁してほしい。

「沖矢さんが風邪を引いても・・・看病なんてしませんから」
「おや、冷たいですね」

クスクス笑いながら、何故か足元に掛けていた布団を取り払われて。
何をするのかと思っている最中、すかさず沖矢さんの手が体に伸びてきて。その数秒後には、錯覚ではなく彼によって物理的に体が浮いていた。

「・・・!?」

驚きはしたが、熱や目眩のせいで咄嗟の声は出なくて。力が入らないせいで、彼の体に全てを預けるように倒れかかった。

何をされるのか分からないまま、彼は部屋を出て廊下をゆっくりと進み出した。

透さんにされるような恥ずかしさはないけど、どこか緊張のようなものは感じる。
でもこれはきっと沖矢さんでなくても感じるものだ。

そう言い聞かせながら、ふと沖矢さんの横顔に視線を向けてみる。
モテそうな顔付きをしている上、色々と器用にこなすのに・・・所謂これが残念なイケメンというやつか。

そう思いながら視線を落としかけた瞬間、目に飛び込んできた物に心臓が大きく反応した。

・・・チョーカー。

はっきりとは確認できなかったが、確かに付けていた。
そういえばあの時・・・沖矢さんに狸寝入りをきめられていた時も見たような気がする。

でもそれはただのチョーカーじゃない。

この間博士の家で見た、あのチョーカー型変声機にそっくりだった。

だからいつもそれを隠すようなハイネックなんだろうか。仮にそうだとして、そもそも何故変声機を・・・?

色々疑問は出てきたが、頭痛のせいでそれ以上は上手く纏まらない。
考えるのは諦めて、進行方向に視線を変えた。

どうやら二階にある別のゲストルームに連れて行かれているようで。

一つの扉の前で立ち止まってからその扉を開けると、借りている部屋より少し広めの部屋がそこにはあって。

「僕の借りている部屋です」

一瞬耳を疑った。何故わざわざ彼の部屋に連れてこられたのか。
思わず逸らせていた視線を沖矢さんに向け直してしまった。



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