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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第28章 厄介物




「今は意地を張っている場合ではありません。大人しく食べて頂けますか」

確かに、ここまでさせておきながら、これ以上迷惑をかけるのも不本意だ。と言っても、これらを頼んだわけではないのだが。

「・・・・・・」

暫く判断を迷ったが、ここは大人しく彼の言葉に従うことにした。
これ以上、沖矢さんに恩を売られるのも手を掛けさせるのも嫌だから。

そっぽを向いていた顔を少しだけ沖矢さんの方に向け、小さく口を開けた。
思っていたよりもその行動は恥ずかしく、ただでさえ熱で体も頭もおかしいのに、更にどうにかなってしまいそうな気がした。

開けた口にレンゲを近付けられ、少しだけ口に流し込まれた。
咀嚼の必要がないほど柔らかくなっているお米のありがたさを痛感しながら胃に送り込んで。

「どうですか」
「・・・美味しいです」

そう、沖矢さんの料理はいつも悔しいほど美味しい。そしていつも大体、手の込んだ煮込み料理をよく作る。

そういう物が好みなんだろうかとふと思ったが、今は特にどうでも良いことで。

暫くお粥を食べ進めたが、どうにも目眩でこれ以上は進まない。沖矢さんにその旨を伝え、薬を出してもらった。

水の入ったコップには、丁寧にストローがささっていて。こういった細かい気遣いはできる人なのに、人の心は平気で土足で踏み荒らしていくのだから信じられない。

薬をどうにか飲み込み、小さくため息を漏らすと何故か沖矢さんに鼻で笑われて。

「昨日までの強気な貴女が微塵も感じられませんね」

そんなことを言われても、今は言い返す気にもなれなかった。今までの疲れや緊張も、この風邪と一緒に悪いものとして排出されているのかもしれない。

「もう大丈夫ですから・・・出てっ、て・・・っん、ぅ・・・」

沖矢さんから視線を逸らしながら退出を求めようとした時、唇に柔らかい感触を受けた。

「ん、ん・・・!ふ、ぁ・・・んぅ・・・っ」

優しく絡まる舌がゆっくりと口内を回って。

透さんとは違う、余裕のある優しいキス。

それでも熱のせいか、少し苦しくて。

「・・・ふ、ぁ・・・」

昨日されたキスとは違い、何故か嫌悪感が感じられなくて。

ただでさえボーッとしている頭なのに、更に動きは鈍くなっていった。



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