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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第28章 厄介物




転んでいても頭痛と目眩は酷く、目の前が歪んでベッドが常に揺れているようだった。
せっかく透さんから貰った服も、汗まみれにしてしまった。

昨日、冷たい風に当たりすぎたせいか。

ボーッとする意識のまま、ゆっくりと目を閉じて深呼吸を繰り返した。

「・・・っ!?」

突然、額に冷たいものを感じて目を見開いた。目の前には、気配が全くなかったのに沖矢さんが立っていて。

「すみません、寝ているのかと思いまして」

驚いた私を見ての言葉だったんだろうが、恐らく彼の言葉通り、一瞬寝ていたのだとも思う。
というよりは、意識を失っていたと言う方が近いかもしれない。

「お粥を作ってきましたが、食べられそうですか?」

少し顔を傾けてサイドテーブルに目をやると、小さな土鍋に入ったお粥や、風邪薬などがトレーに入って置かれていた。

「・・・ありがとうございます・・・後で、頂きます・・・」

今は体を動かしたくない。動かせないとも言うんだろうけど。
温かいうちに食べた方が美味しいことも分かっているが、体が言うことを聞かないのであれば仕方がない。

お粥を見つめながら沖矢さんにそう告げると、突然首元に手を回されて。
軽く体を起こされたと思ったら、横抱きにする形で少し持ち上げられ、壁に背中をつけられた。

「・・・お、沖矢さん・・・っ?」

背中にクッションを挟まれ、痛くないようにされる。

何の為に座らせたのだろう、と働かない頭をフル回転させていると、沖矢さんがお粥を小さな土鍋から小皿に少し取り分けて。

「少しだけでも食べて薬を飲んだ方が良いと思いますよ」

そう言いながら、一口分お粥を掬ったレンゲを私の方へ差し出した。

回らない頭でも、これくらいは冷静に判断できる。

「・・・自分で食べます」
「その様子では無理でしょう」

確かに、今は腕を上げるどころかスプーンを握る自信すら無い。けれど、沖矢さんに食べさせてもらうのは色んなものが許さない。

「沖矢さんに食べさせられるくらいなら・・・倒れてた方がマシです」
「相変わらず頑固ですね」

沖矢さんには言われたくない、と思いの外冷静さが続く脳内で彼に言い返した。



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