第26章 心の傷※
サイズはどこで分かったんだろうか、など色々疑問は残ったが、今はありがたく恩を受けることにした。
いつも彼からは沢山の物を貰ってばかりで申し訳がない。私が上げたものといえば、彼からリクエストをされたお弁当くらい。
でもそれは形として残らないものだ。
いつか彼にも、何かプレゼントをしたい。
そう思いながら、用意された服で身を包んだ。
「・・・?」
着てから気付いてしまった。
柔らかいふわふわとした生地の部屋着。でもそれ一枚ではあまりにも短い。ギリギリ、ミニのワンピースと言い張ればそうにも見えるが、そこが問題ではない。
下はないのか、と思いキョロキョロと辺りを見回すが、それは脱衣所のどこを探しても見当たらなくて。
「と、透さん・・・っ」
今度はこちらから頭を出し、炊事場に立つ透さんに声を掛けた。
「どうされました?」
「こ、これ・・・短過ぎませんか・・・」
透さんが出し忘れたんだと思った。だから彼に言えば出てくると思っていたのに。
「ああ、短い方がひなたさんの綺麗な足が見えて良いかと思いまして」
耳を疑った。
またしても彼に意地悪をされたんだと分かった時には、脱衣所から動けなくなっていて。
私にとってこの格好であれば着ていないも同然に思えた。
「・・・ということは着れたんですね」
言うなり透さんが再びこちらに近付いてくる。
慌てて顔を引っ込め、目を閉じながら壁に体を付けるが、意味は当然ない。
それでも体が反射的に動いた。
「ピッタリみたいですね」
その声に瞼を上げると、いつの間にか透さんは目の前にいて。その気配の無さに忍者か何かか・・・と思いながら服の裾を下へと伸ばした。
「似合ってますよ。・・・今からコーヒーを入れようと思いますけど、飲まれます?」
「え・・・、あ、いただきます・・・」
私の返事を聞いた透さんは、ニコッと笑顔を向けて炊事場へと戻っていった。
てっきり何かされると思った。
少しでもそう思った自意識過剰な自分が情けなく恥ずかしい。
きっとタコみたいに真っ赤になっているだろうな、と感じながら私も脱衣所を後にした。