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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第26章 心の傷※




「ひなたさん、もう一度・・・良いですか?」

顎に手を添えられ、親指で唇を優しく撫でられた。

それにゾクッと何かが私の中で騒ぎ始めて。

彼を求めるように唇を重ねた。

「・・・ん・・・、んぅ・・・」

さっきよりもなるべく深く、と懸命に舌を動かした。難しいことだろうけど、少しでも彼を夢中にさせたくて。

「っ・・・、んん・・・!」

キスに気を取られている最中、タオルの隙間から透さんの手が忍び込んできて。

驚いて思わず唇を離しかけたが、透さんのもう一方の手がそれを阻んだ。

「は、ん・・・んぅ・・・っ」

さっきまで自分のタイミングでできていた呼吸が途端にできなくなり、苦しさを感じ始めて。

透さんの手は焦らすように肌を撫でるだけで、その度に体を小さくくねらせた。

「ん、んぅ・・・っ、ん・・・!」

苦しいことを訴え、ようやく密着していた唇を離してもらった。透さんのキスは呼吸も忘れてしまうほど夢中になってしまう。

いや、単純に私が息継ぎの仕方が下手なのか。

「そろそろキスの時の呼吸の仕方、覚えてくださいね」

口角を上げながらそんなことを言われて。

「・・・すみません」

申し訳なさから謝罪の言葉が落ちた。
私は彼をろくに喜ばせることもできないのか、と更に申し訳なく思って。

「謝ることではありません。そんなひなたさんも可愛いですが、長くキスすることができませんからね」

また辱めるようなことを、平気で涼し気な顔をして言ってしまう。

透さんのこういう所に少し悔しさを感じるけど、それもまた大好きだ。

「口からでは無く、鼻から吸うことを意識してください」

そう言われても、透さんとのキスは深すぎてそんなことにまで意識を回せない。

「が、頑張ります・・・」

上辺だけの善処する意思を伝えて、視線を落とす。どうして私はこんなにも不器用な人間なんだろうか。

今更自分の経験不足を嘆いたって仕方がないけれど。これまでは透さんのように夢中になった人がいなくて。

付き合うのも体を重ねるのも形だけのような物で。
いつも別れを告げたのは私からだった。

付き合うことに不安なんて感じたことはなかったのに、気付けばこの人にだけは毎日不安だらけで過ごしていた。



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