第25章 正しく※
「と、透さんも脱いでください・・・」
私一人だけこんな姿で恥ずかしさを感じるのは不公平だ。そう思って彼に要求を示した。
「貴女からそんなことを言われる日が来るなんて、思いもしませんでしたよ」
小さく笑う彼が自身の服の裾に手をかけ、一気にそれらを取り払った。
あの時と変わらない、締まった体がそこにはあって。
それは美しさすら感じ、やっぱり見惚れてしまう。
「そんなに見られると、僕でも恥ずかしいですよ?」
「す、すみません・・・」
照れたような笑みに、自分の中の何かと心臓が大きく反応して思わず視線を逸らした。
今更、魅入っていたことに恥ずかしさを覚え、動揺から酷くなってしまった顔を両手で覆い隠して。
「次はひなたさんの番ですよ」
そう言われ小さく避けた指の隙間から彼を見ると、腰にはタオルが巻かれていて。
いつの間にそこまで脱いでいたのか。
そう考えているうちにも、ゆっくりと彼の手は私の体へと伸びていて。
「た、タオル・・・!私にも・・・頂けますか・・・っ」
透さんだけなんてズルい。
言葉には出さないけれど、そう目で全てを訴えた。
きっと彼には、それでも伝わっているから。
「特別ですよ」
笑みを浮かべながら彼はバスタオルを手に取り、私の背後からタオルを体に巻いてくれた。
下着はつけたままだけど、どうするのだろう。そう思っていると、足元側からタオルの下に透さんの手が滑り込んできて。
「・・・!」
ホックを外され、肩紐を外し、器用にタオルの下から下着を取り出した。
手慣れているようにも感じるその手付きは、初めてのものだとは思えないことに、少し苦しさも感じて。
『僕も貴女のことが好きだと言ったら・・・信じますか?』
「・・・っ・・・!」
また、脳内で流れる沖矢さんの声。
どうして彼が出てくるの。
今は透さんだけを感じていたいのに。
沖矢さんが私にあんなことをしたのは、動揺を与える為なのであれば、それは大成功だと言える。
でもそれは何の得も意味もない。
考えられる可能性はただ一つ。
あの時の彼の言葉が本当だ、ということ。