第24章 裏切り※
なんだかこの無言の空気に耐えられない。
長くここにいればいる程、帰るのが辛くなってしまいそうで。
今日のことを含め、透さんにはいくつか聞いておきたいし、確認しておきたいことがある。
正直に教えてくれるかどうかは分からないけれど。
ーーーーー
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
透さんの作ったパスタを食べ終え、食器を洗って。彼と話さなくてはいけない時間が近付く度に、鼓動が早くなっていった。
ソファーに腰掛けると、透さんも傍に座る。それにまた鼓動が早くなっていって。
「・・・透さん」
「なんですか?」
彼の質問が飛んでくる前に、聞いておいた方が良いと判断し、彼の名前を呼んだ。
「あの・・・そ、組織は・・・私のことを、不審人物として扱っているのでしょうか・・・」
それは彼に聞いても仕方ないかもしれないけど。彼が安室透として答えてくれるなら真実だろうが、バーボンとしてなら・・・それは隠されるだろう。
「・・・はっきりとは言えませんが、少なからず狙われているでしょうね」
少し驚いて彼を見た。その表情はどこか曇っているように見えた。
この答えを聞く限り、今の言葉は安室透の物だと判断した。
「そう、ですよね・・・」
つまり警戒すべきはバーボンだけではないということで。
そもそも透さんに気を許し過ぎるのもいけないと、分かってはいる。
コナンくんはかなり透さんを警戒しているが、沖矢さんはそうは見えなくて。
今日のことも、コナンくんは絶対二人になってはいけないような口振りだったのに、沖矢さんは呆気なく透さんに会うことに許可を出した。
この違いが、気にはなっていて。
「でも、問題はありません」
そう言う彼の顔には、いつもの笑顔が戻っていた。
「ひなたさんは僕が守りますから」
似たような台詞を最近誰かに言われたような気がする。でも、彼の言葉の代わりになるような人なんていないから、それはどうでも良いことで。
「・・・ありがとうございます」
それが私を陥れる為の言葉であっても構わない。
彼から貰った言葉は全て大事な宝物だから。
「それと・・・もう一つ聞いておきたいことがあるんです」
このことは彼に直接聞いてはいけないかもしれないけれど。