第23章 不都合
「・・・それと。コナンくんには申し訳ないけど、改めて伝えておくね」
それは私の気持ちを整理する為でもある言葉。
「私は透さんを信じてる。透さんの味方でありたいとも思っている。そして、傍にいるって・・・彼に誓った」
私の知っている彼が偽りの彼であっても、助けてもらったりしたことは事実だし、そこは疑いたくない。
「時にはコナンくん達に不都合な行動をすることもあると思う。それでも、貴方達の邪魔や危険に晒すようなことはしない。なるべく協力もする。だから・・・」
信じている、というのは今になっては少し言い聞かせていることで。
そう言っていないと、彼をただただ疑心の目で見てしまいそうだったから。
「透さんを・・・もう少し好きでいさせて」
ダメなんだということは痛いほど分かってる。それでも、私は安室透という人が好きで好きでたまらない。
優しくて、温かくて、料理が上手な彼が大好きなんだ。
「・・・分かった。でも、危険なことはしないで。何かあれば必ず僕か昴さんに連絡するって約束して」
私を見つめるコナンくんの瞳は、真っ直ぐ私だけを捉えていて。
やっぱりこの子には、人を強く決心させるような不思議な力がある。
「ありがとう・・・約束する」
泣きそうな笑顔を作ってはそう頷いた。
「じゃあ、博士のとこに行こう」
「うん」
今度は彼が私の手を取って。
この小さな体に、どれだけ大きな物を背負わせてしまっているのだろう。
得体の知れない組織というものを追い続ける彼の目的は、恐らく組織の壊滅だろうが、それだけだとは思えなくて。
本当の目的というものが何か・・・ありそうで。
「・・・そういえば、阿笠博士って組織のこととか知ってるの?」
「博士はね。如月さんのことも事情は話してる。それに、色々発明品とかで協力してもらってるんだ」
博士は、という言葉に少し引っ掛かりを感じて。私は阿笠博士一人について聞いたのに、まるで他の人は違うとわざわざ言われているような。
それに思い当たる人物は一人しかいなかったが、今は突き詰めることをやめて。
「大丈夫なの?」
組織のことを知っているということは、私のように組織に狙われる可能性もあるということで。
思わず心配からそんな言葉が出てきてしまった。