第22章 再捜査
「高木じゃねえか。どうしたんだよ、こんなところで」
「毛利さんこそ。風邪でも引いたんですか?」
どこかで聞いたような台詞だな、なんて思いながら。
どうやら彼は毛利探偵の知り合いのようだ。それとなく帰るつもりだったのに、少し帰りづらくなってしまって。
「俺はちょっと女房の見舞いに来ただけだ」
「高木刑事は何してるの?」
刑事・・・この人、刑事さんなんだ。あまりそうには見えない優しそうな人だけど。
「あれ、コナンくん。君もいたのかい。ちょっとここには色々調べ物にね」
「調べ物?」
高木刑事と呼ばれる人に、コナンくんはかなり気さくに話かけていて。彼とはかなり親しい間柄のようだ。
確か毛利探偵は元刑事だと聞いたこともあるし、そこからの古い付き合いなのかもしれないな、と勝手に考えてみて。
「ああ、何でも不審物が見つかったとかで。まあ、それはただのボヤ騒ぎだったんだけど、病院の監視カメラとかを一応調べに来たんだ」
この病院で不審物・・・楠田陸道と何か関係があるんだろうか。
「正直、呪われてるんじゃないですかね?この病院。前にも色々あったみたいだし・・・」
「色々?」
透さんが高木刑事の言葉を後押しするように尋ねて。
「アナウンサーの水無怜奈が入院してたって噂になったり・・・ケガ人が押し寄せてパニックになったり・・・爆弾騒ぎもあったとか・・・」
パニックになったことは覚えがあったが、爆弾騒ぎまであったんだ・・・。やっぱりこの病院には何かある。
「じゃあ、楠田陸道って男の事とか知りませんよね?」
突然、透さんがそう尋ねて、心臓が大きく音を立てた。
透さんが楠田陸道からお金を借りたというのは嘘か本当か分からないが、コナンくんのあの反応を見る限り、楠田陸道は組織と何かあるとしか思えない。
高木刑事という人の言葉に、必死に耳を傾けた。
「楠田陸道?ああ!そういえばその爆弾騒ぎの何日か前に、この近くで破損車両が見つかって・・・その車の持ち主が楠田陸道って名前でしたよ!」
破損車両の持ち主が楠田陸道?
ということは彼はもう・・・
「この病院の入院患者だったそうですけど、急に姿をくらましたらしくて」
姿をくらませたということは単純に車を他人に貸しただけか、それとも。何にせよ彼が生きているかどうかすら分からなくなってきて。