第22章 再捜査
「・・・コナンくん」
「分かってる・・・。如月さんはとりあえず一旦ここから離れて。その様子じゃ、昴さんには黙って来たんでしょ」
子どもにこんな指示を仰がれるのは傍から見ればかなり滑稽だろうが、今の私にはとても心強く見えた。
「・・・ごめんね」
コナンくんには肯定の謝罪を告げた。やっぱり迂闊に行動するものではないな、と少し反省して。
あくまでもコナンくん達とは協力者という関係だが、今のところ私は足を引っ張っているだけのように思う。
本来は透さんに怪しい動きがあれば彼らに報告するだけの関係だったはずなのに。いつの間にかこんなことになっていて。
とにかく今は彼の言葉通り、ここを離れることを考えた。
「あの、私はそろそろ帰りますね。妃さんへのお見舞いも済みましたし・・・」
そう毛利探偵や透さんに告げて、その場を去ろうとした時。
「では、玄関まで送りますよ」
透さんが笑顔でそう返した。
大丈夫、何もない。私はただ妃さんのお見舞いに来ただけだ。
そう何度も自分に言い聞かせて。
「じゃあ、俺達も帰るとするか」
毛利探偵のその言葉にどこかホッとしてしまった自分がいた。何を透さんにビクついているんだろう。
彼が組織の人間だから?
彼が何を考えているか分からないから?
彼に・・・後ろめたいことがあるから?
いずれにせよ、今気にすることではない。そう繰り返すが脳は理解しようとしなくて。
結局、私達は全員で病院の出入口へと向かっていった。
「へぇー、毛利先生の奥さん急性虫垂炎だったんですか」
「ああ・・・焦って損したぜ・・・」
一歩先を歩く透さんと毛利探偵の後ろをついて行くように、コナンくんと並んで歩いた。
たまにコナンくんへ視線を向けてみたが、相変わらず彼は透さんから視線を外していないようだった。
「あれ、毛利さん?」
コナンくんに視線を向けている間に、向かい側から誰か声をかけたようで。透さんの横から前を除くように顔を傾けると、そこにはスーツを着た男性が立っていた。
気になったのか、合わせてコナンくんも顔を覗かせた。