第22章 再捜査
「どうしたんです?皆さんお揃いで」
「ちょっと女房がな・・・」
さっきコナンくんに強がったにも関わらず、思わず彼に視線を向けてしまって。二人して冷や汗を流した。
「ひなたさんはどうしてこちらに?」
既に見透かしているような瞳で見つめられて。やっぱり、あれは私をここへ誘き寄せる為の罠だったのか。
「たまたまコナンくん達と会って、妃さんが手術をしたと聞いたので・・・」
どうしてこうも会いたくない時ばかり突然現れるのだろうか。心臓がいくつあっても足りそうにない。
とにかく動揺してはいけない。
今、できれば会いたくはないが不都合は無いはずだ。
「透さんはどうしてここに?」
「知り合いが入院してるって聞いて見舞いに来たんですが、いつの間にかいなくなってしまったみたいで」
そう言うと透さんはコナンくんに顔を近付けて。
「コナンくんは前にもここに来たことがあるって看護師さん達が言ってたけど、知ってるかな?」
そう言うと一瞬、透さんの目付きが変わったように見えた。
「楠田陸道って男・・・」
彼の口から出たその名前に、思わずこちらが反応してしまいそうになる。
でも、もしあれが透さんが仕掛けた罠なんだとしたら、その理由が分からなくて。
「誰?それ・・・知らないよ?」
子どもっぽく、白々しくコナンくんが答えて。コナンくんが透さんに隠すってことは、私も知らないと言っておいた方が良いんだと察した。
「実はその男にお金を貸してて、返してほしいんだけど・・・ホントに知らないかい?」
「うん!」
笑顔で元気にそう返すコナンくんに、思わず関心してしまって。あれくらい動揺無く透さんと話せれば・・・なんて思っていた矢先。
「すごいね、君は・・・」
コナンくんの答えを聞いた透さんは何故かそう言いながら笑って。
「あの、ちょっとすみません」
何の笑みだろうと考えている間、透さんは突然通りすがりの二人組の女性に声を掛け始めた。
「楠田陸道っていう入院患者、知りませんか?」
「さあ・・・どんな方?年は?」
「その人の写真とかあるかしら?」
「あ!もういいです」
「あら、そう・・・?」
何故か声を掛けておきながらすぐにその人達を解放してしまって。行動の意図が分からず、ただただコナンくんと透さんを交互に見続けた。