第22章 再捜査
「あれ・・・?」
この間、あのファイルの後ろに隠されていた資料・・・赤井秀一や宮野志保、そして私に関する資料が無くなっている。
確かに元あった場所へ戻したはず・・・。
考えられるのは、その資料を見たことが透さんにバレたということで。
バレると何かヤバいのか。
それすらも判断できなくなっていて。
「二人とも"元"組織の一員だし・・・」
宮野志保は死んだということになっている。それが彼らにバレなければ良いのだろうとは思う。
赤井秀一は死んでいる・・・というのは正直まだ分からないけど。
そもそもこの情報、私にとって不都合があったのだろうか。考えれば考えるほど、目眩がしそうで。
やっぱりこういうのは苦手だ。
考えるのは諦めて、別の情報を調べることとした。
「・・・やっぱりないか」
約二時間。
休みなく資料の整理と捜索を進めたが、目新しい物は見つからなかった。
組織のことについては皆無にしても、それ以外の小さな情報も無かったのは地味に辛い。
元々期待は淡かったのだが。
「ここは私のデスクだし・・・」
そう呟きながら、デスクの引き出しを漁っていると、見慣れないファイルが出てきて。
こんなファイルがあっただろうかと、手に取り中を開いた。
「・・・杯戸中央病院?」
どうして病院の資料がこんなところに・・・。そう思いながら見進めていると、一人の男の顔写真が出てきて。
見慣れない人だ。入院着を着ている様子だから、入院患者だろうか?
首を傾げながら徐に写真の裏を見ると、そこには「楠田陸道」と書かれていて。
恐らくこの写真の彼の名前だろう。
透さんが昔受けた依頼の人物・・・とか。
それにしては彼に関する資料が他に何もない。
杯戸中央病院と言えば、数ヶ月前に何か騒動があったような。・・・いや、あれは異臭騒ぎや火災などが重なって大混雑しただけか。
もしかして、この男も組織の・・・。
何にせよ情報が少な過ぎる。
私にとって一番怪しく目新しい情報は、この楠田陸道という名前と顔写真のみ。
何より、これは私のデスクに入っていた。
これはもうその病院に行けと言われているようで。でもこれは、透さんの・・・組織側の罠かもしれないけど。