第21章 違和感
宮野志保については不確かだが、赤井秀一は・・・ほぼ間違いない。この目はあの人だ。
でも確認のしようがない。
分かりそうで分からないこのもどかしさが溜息を深くさせる。半ば諦めた気持ちでベッドの上に倒れ込んだ。
またコナンくんにカマをかけてみる、とか。
いや、流石にコナンくんも教えてくれないかもしれない。
あの時透さんも、赤井秀一が死んだことを確信した様子だった。だったら彼もまた・・・兄弟か何か?
「難しい顔してどうしました?」
「きゃ・・・っ!?」
覗き込まれるように、突然目の前に沖矢さんの顔が現れて。気配を全く感じなかった・・・、それに。
「ノックくらいしてください・・・」
「しましたが、返事がなかったので」
全く気が付かなかった。
そこまで考えに耽っていたのだろうか。
「夕飯、ハンバーグを作っていますが食べますか?」
ハンバーグ・・・そう言えば透さん、今日ハンバーグはどうか、なんて聞いてきたっけ。
いつか彼のそれが食べられる日は来るのだろうか。
「・・・ひなたさん?」
「あ、すみません・・・ちょっと疲れてしまって。すぐ行きます」
沖矢さんの傍を通り抜け、いつもの部屋へと移動する。
この生活にも慣れてきている自分がいて。
引越し先が決まるまでとは言ったが、バーボン以外が私のことを狙っていると分かったら・・・あの部屋の荷物には手をつけず夜逃げでもするしかないな、と考えながらいつもの部屋に入った。
ーーー
夕飯を食べ終え、食器を洗い、お風呂に入って部屋に戻ると、何故かそこには沖矢さんが立っていて。
「・・・沖矢さん・・・?」
振り向いた彼の手にはデジカメが握られていて。
見られた。
瞬間的にそう思い、彼の手からデジカメを奪い取った。見られていけないものはないが、私がこのことを知っているのは、何となく避けた方が良いと思ったから。
「・・・何、してるんですか」
キッと彼を睨みつけ、デジカメを握り締めた。
「いえ、そろそろそれを返して頂こうかと思いまして」
「だったらそうと言って・・・・・・」
デジカメを指さす沖矢さんに、あのデータだけ消して返そうとデータ欄を開いたところ、静止するように彼に手を掴まれて。