第21章 違和感
赤井秀一・・・諸星大、そして宮野志保。
その名前が何度も何度も頭の中を駆け巡った。
どうしてあの二人の写真を見た時、既視感に襲われたのか。
それも、つい最近の出来事だったように思う。
赤井秀一に関しては透さんの変装だったとしても、宮野志保については何も思い当たらない。
なのに、何故・・・。
「・・・・・・!!」
不意に、一人の顔が頭に浮かんだ。
ミステリートレインで阿笠博士の隣に座っていたあの少女。
確か名前は、灰原哀。
あの時マスクはしていたが、全体の雰囲気といい目元といい、今思えば彼女にそっくりだ。
声は聞けなかったから、それ以上の確認の仕方はないが。
もし彼女が宮野志保の姉妹か何かだとしたら・・・あの子も危ないのではないか。なんて、勝手な予想を立てては勝手に心配して。
いや、もしそうだったらコナンくんや沖矢さんが放ってはおかないか・・・と小さく溜息をついた。
あの時、少しでも姿が確認できていれば・・・。
今更悔やんでも仕方の無いことなのに。
寧ろ悔やまれるのは、あの時あの男に眠らされてしまった・・・こと・・・・・・
「・・・っ・・・!」
そうだ。
あの男だ。
赤井秀一。
薄暗い中で見た横顔だけだったが、恐らく間違いない。
あの写真の人物と、あの時の男の顔が頭の中で一致した。
でも・・・彼はもうこの世にいないはずじゃ・・・。
・・・もしかして、まだ生きているんだろうか。
透さんも死んだということを疑っていたし。
でも、そうだとしたらなぜ沖矢さん達と・・・?
まさか沖矢さんもFBI、とか・・・。
それは何となく有り得そうだな、と思って隣で運転する彼をチラリと見た。
相変わらず眼鏡の奥にある瞳が、何を見据えているのか分からない。きっと彼に聞いてもまたはぐらかされる。
そう思いながら再び彼から視線を外した。
程なくして無事に工藤邸に着き、門の前で車から降ろしてもらった。預かった鍵で玄関の鍵を開け、中へと入って。
鍵はいつもの部屋の机の上に置いて、足早に借りている部屋へと急いだ。
引き出しにしまっておいたデジカメを取り出し、あの時撮った彼らの写真を改めて確認した。