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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第20章 追討ち




「大丈夫、もう解決したよ」

コナンくんの笑顔が、私は真相を知らなくても良いと言っているように感じて。

「そっか・・・それなら良かった」

再び、無理矢理作った笑顔で彼に応えた。

ミステリートレインといい、ここの別荘といい、こうも立て続けに殺人事件へ遭遇することがあるのだろうか。

まさか組織が・・・透さんがそこに関係しているんじゃないかと思い始めて。

・・・いや、それはない。こんな目立つようなこと、組織の人間がするはずない。そんな自問自答を繰り返していると。

「目が覚めたようですね」

いつの間にかキッチンにいたはずの透さんが目の前に立っていて。

「透さん・・・」
「顔色がまだ良くありませんね。これからみんな引き上げるところですが、友人の家まで僕が送りましょうか?」

その言葉で更に顔色が悪くなりそうで。

ここでコナンくんに視線を向けてはいけない。本能でそう思い、透さんから目は離さなかった。

それでも返答には困って。間が空けば空くほど不審に思われる。とにかく何か話さなきゃ、そう思っていると。

「えー!如月さん、今日は僕ん家に泊まりに来てくれるんじゃなかったの?」

いつもより子どもっぽさを感じるコナンくんが、私の腕を軽く引っ張りながらそう言って。
向けないようにしていた視線を思わず彼へ向けた。

「あれ、いつの間にそんな話してたの?」

近くにいた蘭さんが少し驚いた様子でコナンくんに問いかけて。私も同じ質問を投げかけたい気持ちでいっぱいだった。

「ラケットが頭に当たる直前に話してたんだ、伝えるのすっかり忘れちゃってた」
「・・・ということなので、大丈夫そうです」

とにかく今はコナンくんに話を合わせることにした。恐らく彼はそうしてほしいんだろうし、私もそうしておきたい。

透さんの車に乗ったら本当の行き先を言う訳にもいかないし。
そもそも、こちらが伝えた場所に連れて行ってくれるとも限らない。

「そうですか、では帰られたら連絡ください」

柔らかい笑顔でそう言われ、上手く誤魔化せたんだと思ったのも束の間。

「・・・行動前に僕へ連絡する義務は、まだ終わってませんよ。僕の助手を辞めるのでしたら話は別ですが」

そう私にだけ聞こえるように耳元で話されて。

透さんの顔を思わず見ると、柔らかかった笑みは不敵なものに変わっていた。



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