第20章 追討ち
そう自信たっぷりに言った透さんは、針金かそれの代わりになるような物を要求した。
たまたま工具箱の中に入っていたと言う針金を彼女達から受け取ると、鍵穴に入れては針金の形を変えていった。
早い。
慣れているという話じゃない。
その道の人なのではないのかと疑う程、その手つきは見事としか言いようが無くて。
ものの数秒で、鍵はカチャリと音を立て、簡単に開いてしまった。
「開いたようですね」
「すごーい、安室さん!」
「まるで怪盗キッド!」
蘭さんや園子さん達がその姿を見てはしゃいだ。
「セキュリティ会社の知り合いがいましてね。内緒でコツを聞いたことがあるんですよ」
「何かを探る探偵には、ありがてえスキルだな」
確かに・・・そのスキルは組織の人間にとっても、ありがたいものだろうな。
そう思うと同時に、益々嫌な予感が増していく。
馴れないその感覚に、眉間にシワを寄せた。
透さんは、解錠されたドアノブに手をかけ、それを押し開いた。
「ん?何かがドアを塞いで・・・」
何度か開こうと軽く開け閉めするが、何かにぶつかって開かない。
「!」
隙間から見える部屋の様子を確認したのか、透さんの表情が一瞬で強ばった。
それを見て不安が移るようだった。
「コナンくん・・・?」
透さんがそう呟いて。
まさか、コナンくんに何かあったんじゃ・・・。そう思った瞬間。
「開けるな!」
コナンくんの声がドアの隙間から聞こえてきて。
それはとても緊迫した、叫ぶような声で。
「開けちゃダメだよ・・・。ドアを塞いでるの、石栗さんの遺体だから」
「え・・・!?」
その場にいた一同が動揺した。
それはそうだ。
このドアの向こうには、さっきまで一緒だった人の遺体が・・・あると言うの、だか・・・ら。
遺体・・・遺体・・・・・・っ
何故かその言葉だけが、土足で脳内を走り回った。
うるさい・・・苦しい・・・
目眩がして、よろよろと壁にもたれかかった。
「ひなたさん・・・!?」
心配そうな蘭さんの声がする。
その方向へ目を向けるが、ぼやけて焦点が合わない。
段々と息が荒くなってきて。
体が・・・おかしい。
そう思った時には既に遅かった。