第20章 追討ち
「あれっ、ひなたさん・・・!どこに行ってたんですか?」
「あ・・・すみません、ちょっと・・・」
あの後、名残惜しくも別々に部屋を後にして。キッチンに戻ってくると、蘭さんが少し心配そうな顔で私に近寄ってきた。
「心配かけてすみません。それより、コナンくんは・・・?」
もう午後三時を回っている。
私は構わないが、彼女達はテニスの練習をしに来たのだから、早くしないと暗くなってしまう。
・・・まあ、さっきまで透さんを借りていたから、するにできなかったのだろうけど。
「そう言えばコナンくん、起きてこないね」
「石栗のやつもまだ部屋から降りて来ねえな」
石栗さんもあの部屋にまだいたんだ。言われてみれば、部屋でアイスケーキを食べると言っていたっけ。
そんなことをぼんやり考えていると、廊下から透さんの姿が見えて。
ドキッと心臓が高鳴った。
一瞬で、目と目が合う。
透さんはこっちを見て優しい笑みを浮かべた。
それにまた心臓が大きく動いて。
私の中の何かが疼くようで。
誤魔化すように、そっと俯いた。
その瞬間、二階の部屋からゴトンッという何か重たい物が落ちる音がした。
「な、何だ?今の音・・・」
「石栗くんの部屋の辺りじゃない?」
「何かあったんじゃ・・・」
彼女達の言葉で、急いで二階の石栗さんの部屋へと総出で向かった。
「ねえ、琴音。あなた合鍵持ってるでしょ?」
「それが、石栗くんの部屋の鍵だけ昨夜から見当たらなくて・・・」
・・・なんだか嫌な予感がする。
急に不安な気持ちが押し寄せてくる。
なんだろう、この感覚。
「仕方ねえ。ちょっと危ねえけど、ベランダ伝いに石栗の部屋に行ってみるか。窓が空いてたら中に入れるし、閉まってても部屋の中の様子は見えるだろ」
「そうね。前にもそれ、やったことあるし」
「でも・・・結構離れてて私は無理だったけど・・・」
「真智は高い所苦手だからな」
針金みたいな物があれば・・・この鍵を開けられる。
でもそれは、透さんの前でピッキングができることをバラしてしまうことになる。
それだけは避けたい。
でも、中にいるコナンくんも心配で。
自分の中で葛藤が続いた、その時。
「なんなら、僕が鍵を開けましょうか?」
「え・・・?」
みんなの視線が透さんへと集まった。
「そういうの、割と得意なので」