第19章 求めて※
「・・・っは、はぁ・・・あ・・・」
暫く、部屋にはお互いの呼吸する声だけが響いた。
密着する体から、透さんの鼓動が聞こえる。
少しだけ早いように感じる透さんの心音は、子守唄のように心地好くて。
「・・・抜きますね」
「んっ、あ・・・!」
グチュ、という卑猥な音を立てながら、私の中を埋めていたものが抜かれて。妙な喪失感が体を襲うようだった。
密着していた体も離れ、全身が倦怠感で包まれた。
透さんが部屋の隅で衣服を整えている様子を見て、私もそうしなきゃと感じたが、想像以上に重たい体が中々言うことを聞かなくて。
そういえば前回は最後にイった後、気を失ってしまったが・・・服は透さんが整えてくれたのだろうか。
そう思うと急に、今更なことなのに恥ずかしくなって。
「・・・少しだけ、ここで待っていてください」
服を整え終えた透さんが、私に布団を被せながらそう伝えて。
布団は私の体を一時的に隠すものだと悟った。
一言置いて言った透さんは、閉めていた鍵を開けて部屋を後にした。
この状況に少なからず動揺はしているが、頭も体も働かない以上、どうすることもできなくて。
とにかく衣服だけでも整えておきたいけど、指一本さえも動かない。更に、この暑さ。
喉も乾いて仕方がない。
一瞬でも気を抜けば、あの時と同じように気を失ってしまいそうで。
体感ではもっと長かったように感じるが、恐らく約五分後。扉をノックする音がした後、ゆっくりと開いて。
「気分、悪くないですか」
「あ・・・はい、大丈夫です・・・」
透さんがタオルとペットボトルを持って部屋に入ってきた。
体を起こそうとするが、やっぱり上手く動かなくて。ベッドの上で無様にのたうち回るように、もぞもぞとしただけだった。
「・・・その様子だと、大丈夫そうには見えませんね」
申し訳なさそうに笑う透さんに、私も申し訳なく思って。
「すみません・・・」
「ひなたさんの悪い癖ですよ、すぐに謝るの」
そんなに謝っていただろうか、なんて過去を思い出すが、そんな無意識に出た言葉に心当たりなんてあるはずもなく。