第118章 番外2※
「今はあまり煽らないでくれ・・・」
一瞬私の目を見た彼だったが、またすぐに逸らされてしまった。
それはある種の拒絶のようにも見えて。
心臓が・・・キュッと掴まれるように傷んだ。
「いつも以上に・・・理性が、働かないんだ」
・・・理性を働かせる必要があるのだろうか。
私では、不足なのだろうか。
不安もそうだが、頼ってくれない虚しさのようなものが、体を埋め尽くしていった。
「・・・零」
彼が待てと言うのであれば、私は待つ。
けれど・・・。
「1人より・・・早く零が楽になるなら、協力する」
「・・・っ」
彼の言葉通り、暫く安静にしていればおさまるものなのかもしれない。
けど、早くおさめられるかもしれないのであれば・・・その方法に、私は賭けたい。
「零」
返事に詰まる彼を、真っ直ぐ見つめながら名前を呼んで急かしてみるが、それでも首を縦に動かそうとはしなかった。
「・・・ダメな理由があったら、言って」
依存性など、私が把握できていない危険な面もあるかもしれない。
そうであれば、大人しく引き下がるが。
ただ、その可能性は低いとも思っていて。
仮にそういった依存性、危険性、私へのデメリットがあれば、そもそも彼はここへ帰っては来なかっただろうから。
それでも彼が私を必要としない理由が聞きたかった。
「・・・ひなたが、ダメなんじゃない」
と、いうことは。
彼なりのプライド・・・というものだろうか。
スーツで帰ってきたということは、恐らく降谷零として負ったものだ。
その尻拭いになりそうで嫌・・・といったところだろうか。
「じゃあ・・・ジッとしてて」
聞けないのであれば、それで良い。
彼がしてくれと言えないのであれば。
「!」
私が・・・自分の意思で動く。
「ひなたっ・・・!」
これで彼は命令したことにはならない。
私が勝手にしたことだ。
そんな言い訳じみたことを脳内で言い聞かせながら、今度は私が彼をベッドに突き倒した。
触れるだけでも顔を顰める彼に、罪悪感と不安が募ったが、何かを言ってる場合でも考え込んでいる場合でもない。