第18章 嘘吐き※
「組織のことはどこで?」
「・・・それは言えません」
コナンくんと沖矢さんです、と言う訳にもいかず。かと言って他に思い当たる人物もいない。
適当なことを言ったところで、すぐにバレるんだろうし。
「透さんにも・・・秘密はありますよね」
自分の嘘を隠すように、言葉を続けた。
「・・・そう、ですね」
透さんは困ったように笑って。
その笑みが意味するのは何なのか。
気にはなったが、知らない方が良いとも思った。
「とりあえず、友人の家から自宅に戻ったら連絡・・・いや、戻る前に連絡ください」
「あ・・・でも、スマホが・・・」
連絡したくない訳ではないが、調子が悪いことにしている為、そこは貫き通さないといけないと思って。
私がそれを言いかけると、透さんがポケットからスマホを取り出し、約数分間、それを操作してから私に渡した。
「僕の予備のスマホです。それで連絡をください」
「で、でも・・・!」
「これ以上、心配はかけないでください」
真っ直ぐな瞳にそれ以上何も言えなくなった。
透さんがいつも使っているスマホはよく覚えていないが、私にこれを渡すことはたまたまだったはず。
本当に彼のスマホだとしたら、何か情報が・・・。
「今、データは初期化して僕の連絡先だけ入れてありますから」
淡い期待はあっさりと消えた。
透さんがそんなことするはずもないか、と自分にため息をついた。
「・・・分かりました、その時にはまた連絡します」
また透さんと話すことができるんだと思うと、少し浮かれてしまう自分がいて。
そんな状況でもないのに。
「では、少しは本当のことを話してくれたみたいですので・・・」
「・・・っ!」
そう言いながら、再び太ももに透さんの指を這わされて。
「続きは・・・どうしますか?」
聞かなくても分かっているくせに。
喉のすぐそこまで出かかったが、それは飲み込まれて。
もう、飲まれてはいけない理由も恐らく無くなったのなら。
「・・・透さんは?」
上目で彼を見つめ、懇願するように尋ねた。
一瞬、驚いたようにも見えた透さんは、すぐにいつもの余裕な笑顔を見せて。
「勿論、貴女と同じですよ」
そう言った彼の手が、服の裾からするりと侵入してきた。