第18章 嘘吐き※
「本当のことを話してくれたら、続きをしても良いですよ」
彼は私にどんな言葉を期待しているのだろう。
知らないと言っているのに信じてくれない辺り、カメラの映像以外に何か確信を得て私に問い詰めているのか。
「透さんは・・・何が知りたいんですか」
彼の意図が分からなさ過ぎて。
早くこの状況から逃げたくて。
正面から彼に攻めた。
私の質問を聞いた透さんは切なく笑って。
「・・・ひなたさん、組織のことを知っていますね?」
そう問われた。
ああ、私・・・動揺してしまってる。
もうこれは逃げられないんだ。
「・・・はい」
もう、知らないとは言えなくて。
透さんの顔なんて見れなくて。
全身が震える。
それが恐怖なのかは分からなくて。
覚悟は・・・していたのに。
「ミステリートレインには何故、乗車を?」
「あれは・・・本当に、友人に誘われて・・・」
半分、嘘ではない。
実際、私はあの列車に何をしに行ったのか分からない。
沖矢さんには協力者として、と言われたけれど、とった行動はとても協力していたとは言えない。寧ろ、足を引っ張っていた方がほど近い。
「透さんは・・・どうして?」
「僕は探偵です。ミステリートレインに興味があるのは、言うまでもありませんよね」
ぐうの音も出ない。
でも、この質問でバーボンのことを匂わせない辺り、バーボンを知らないという私の嘘は、突き通せたんだと思った。
そして透さんも再び隠すことにしたんだ、と。
「・・・その組織にいた兄のことは、まだ調査してもらえるんでしょうか」
「ひなたさんが望むのであれば」
これは透さんの嘘だとすぐに分かった。
いつもこんな感じで私の嘘を見破っているんだな、と感覚で分かった気になって。
「兄は・・・組織と関係があったんですよね?」
「警察官として潜入していただけです。貴女の依頼が『彼の死の真相』というだけに、手こずってはいますが」
あの時のコナンくんの言葉が本当ならば、彼はもうその真相を知っているはずで。
そうなのだとしたら早く教えてほしい。
「兄は、組織の人間に殺された」
「まだ、確証はありません」
その組織に関わっている以上、そう疑う他ない。
そうでなければ、この復讐心に似た気持ちはどこへぶつければ良いのか。