第117章 安室3
一歩後ろを歩くひなたさんと探偵くんからは、痛いほどに視線を感じた。
僕を怪しむ事をまるで隠していない。
まあ、こちらもそれなりに動いているから当然のことだろうが。
「あれ、毛利さん?」
病院の出口を抜けた直後、僕達の目の前に見知った男が目に入った。
彼もまた我々の存在に気付いたようで、向こうから先に声を掛けてきた。
「高木じゃねえか。どうしたんだよ、こんなところで」
「毛利さんこそ。風邪でも引いたんですか?」
彼は確か、警視庁の捜査一課の警察官だったな。
探偵として潜入した先で起きた事件時、駆けつけた中にいた刑事だ。
・・・それ以前に目にした気もするが、警視庁の人間であればそれもおかしくはないかと考えて。
「俺はちょっと女房の見舞いに来ただけだ」
「高木刑事は何してるの?」
どうやらコナンくんは、高木刑事とは以前から知り合いのようで。
これだけ事件に関わることが多ければ、不思議なことではないだろうな。
「あれ、コナンくん。君もいたのかい。ちょっとここには色々調べ物にね」
「調べ物?」
僕達の背後にいたコナンくんに気付いた彼は、少し体を屈ませながら質問に答えた。
「ああ、何でも不審物が見つかったとかで。まあ、それはただのボヤ騒ぎだったんだけど、病院の監視カメラとかを一応調べに来たんだ」
・・・不審物か。
組織の人間のやり方ではないだろうが、一応こちらも調べておいた方が良さそうだ。
そんな事を脳裏で考えていると。
「正直、呪われてるんじゃないですかね?この病院。前にも色々あったみたいだし・・・」
「色々?」
彼は愚痴を零すように、溜息混じりにそう言った。
彼は何か知っているかもしれない。
僅かでも可能性があれば探ってみるべきだ。
そう瞬時に判断すると、彼の言葉を拾って中身をそれとなく尋ねた。