第117章 安室3
その後、気を失ってしまった彼女を、様子がすぐに確認できるソファーへと寝かせた。
さっきのこともある。
僕が原因の一つであることは間違いないだろう。
なりふり構っていられなかったとはいえ、やはり彼女に負担を大きく掛けてしまった。
今更過ぎるどうしようもない後悔をしながら、警察や毛利さん、小さな探偵くん達と一緒に事件を解決し終えて。
その後、これから行われる聴取をどうにか外してもらおうと、毛利さんと話をしている最中。
「大丈夫!?如月さん」
コナンくんが、彼女の名前を呼びながら駆け寄っていって。
先程、蘭さん達がザワついていたが、どうやら彼女の意識が戻ったようだ。
毛利さんと話をしつつ離れた場所から様子を伺っていたが、コナンくんに笑顔を向けられるだけの余裕はあるようで一先ず安心した。
・・・その笑顔がぎこちないことには、気付かないフリをして。
きっと、あれこれ頭の中では考えを巡らせているのだろう。
視線を徐々に落とす彼女に近付いては、その考えていることにも、思考を張らないように蓋をした。
「目が覚めたようですね」
深入りすれば、こちらが食われる。
こんな無意味な線引きはするくせに、結局必要以上に関わってしまう。
・・・なんて矛盾した感情と思考だろうか。
「透さん・・・」
僕を見上げるその表情に、張らないようにしていた思考は巡らされてしまった。
この事件も、組織の手が加わっているのではないかとでも考えているのではないだろうか、と。
でなければ、その暗い表情の理由を教えてほしいところだ。
「顔色がまだ良くありませんね。これからみんな引き上げるところですが、友人の家まで僕が送りましょうか?」
・・・ああ、また。
更に表情が曇った。
沖矢昴との関係は、やはりやましいものなのか。
言葉が返せなくなり、押し黙る彼女だったが、決して僕から目を離すことはなくて。
彼女のそれが更に怪しく見てしまうことは、教えてあげるべきなのだろうか。