第116章 安室2※
「気分、悪くないですか」
「あ・・・はい、大丈夫です・・・」
入る直前までは、どこか警戒したような表情をしていたが、僕の顔を見れば少し安心したようなそれを見せた。
・・・警戒しているのか、心を許しているのか、よく分からない人だ。
僕の声掛けに彼女は体を起こそうとベッドの上でもがいてみるが、上手く力が入らないのか、ただもぞもぞと動く以外の行動は起こせなかった。
「・・・その様子だと、大丈夫そうには見えませんね」
こんな状態になると予測はできなかったのだろうか。
予測した上での、流されだったのか。
例え僕相手でも、危機感は持って欲しいものだと笑みを浮かべると、彼女に近づいて。
「すみません・・・」
・・・まただ。
彼女はすぐに謝る。
癖になっているのだろうが、問題なのは、それが癖になるような生き方をしてきたということで。
「ひなたさんの悪い癖ですよ、すぐに謝るの」
彼女は謝るようなことをしていない。
でも自分の行動に非があると感じ、ネガティブな考えに走ってしまう傾向がある。
そんな彼女を変えたいと思う反面、今もそうさせているのは自分だと、心の中でどうしようもない感情と葛藤した。
「ちょっと失礼します」
断りは入れたものの、半ば強引に彼女に掛けていた布団を剥ぎ取ると、彼女の肌を再びさらけ出した。
「や・・・っ、・・・透さ・・・!」
「じっとしててください」
・・・なるべく、直視は避けて。
ぼんやりと彼女を視界に捕らえると、手を取り持ってきたタオルを肌へと滑らせた。
あまり見つめ過ぎると、理性が制御できなくなりそうで。
自分が・・・壊れてしまいそうで。
「そのままだと気持ち悪いかと思いまして」
それでも、彼女をこのままにしておくこともできなくて。
衣服を整えつつ、彼女の体を拭き終えた。