第116章 安室2※
「ぽ、ポルシェの中から聞こえた・・・お酒の名前、ですよね・・・。コードネーム・・・だったんですか」
もう、遅いのに。
それでも彼女は足掻いて見せた。
「貴女も聞いたはずですよ、ミステリートレインで」
頑固な所は変わらない。
そんな所も、好きではあるが。
「私はあれからずっと部屋にいたので・・・」
「ほぉ。この言葉が、僕と会った後に聞いたものだとよく分かりましたね」
追い込めば追い込むほど、彼女は子犬のように震え、呼吸を乱し、目は右往左往に泳いでいた。
「な、なんとなく・・・そうなのかと」
「粘りますね」
もう答えは出ているようなものだが、ハッキリと彼女の口から聞かなければいけない。
一つ話せば二つ話しても同じだと錯覚し、次の答えを聞きやすくなるからだ。
暑さがジリジリと僕を追い込んでくる中、取り調べをしている気分だと小さく笑って。
顔に貼り付いた髪を払うように前髪を片手でかき上げた。
「これだけは貴女の口から吐いてもらいます」
「な・・・にを・・・」
これを公安のやり方ではなく、組織のやり方でしかできないことに吐き気がするが。
・・・いっそ、そこまで知ってしまえば良いのに、なんて我儘に似た思いまで出てしまった。
「他にも吐いて頂きたいことがありますので・・・再度お願いしますが、早めに吐いて頂けると助かります」
いや・・・今は自分を殺している方が気が楽か。
そんな事を思いながら、彼女の太ももへと指を優しく這わせた。
彼女の顔つきが変わったのを確認しつつ、質問という名の尋問を進めた。
「沖矢という男、一体何者ですか」
「し、知りませ・・・っあ・・・!」
短いテニスウェアの裾から手を忍ばせ、下着越しに彼女の秘部へと触れた。
明確な快楽は与えず、ただ焦らすように、優しく。
「やめ、て・・・!」
言葉では抵抗しているが、彼女の表情は1つも抵抗を見せていない。
・・・それも彼女自身は、気付いていないのだろうな。