第116章 安室2※
「このコードネーム、聞き覚えありませんか。君の御家族とは会ったことがあるんですが」
煙が充満する中、シェリーにそう問いかければ。
「ええ、知ってるわよ。お姉ちゃんの恋人の諸星大とライバル関係だった組織の一員。お姉ちゃんの話だと、お互い毛嫌いしてたらしいけど」
懐かしい名前を耳にした。
できれば一生関わりたくない人物だ。
ベルモットは今回、シェリーが口にした諸星大・・・正しくは赤井秀一の消息も辿っている。
「ええ。僕が睨んだ通り、あの男はFBIの犬でね。組織を裏切った後、消されたっていうのがどうにも信じ難くて」
奴は殺しても死なないような男だ。
その男が・・・簡単にこの世を去るとは思えない。
それはバーボンとしてではなく、降谷零としても知りたい情報だった為、こちらもできる限り手は貸した。
「あの男に変装し、関係者の周りを暫く彷徨いて反応を見ていたんです。おかげであの男が、本当に死んでいることが分かりましたけどね」
・・・信じた訳では無い。
「まあ、変装させてくれたのは今回、僕の代わりにあの男に化けてくれた仲間ですが」
けれど、ベルモットが赤井秀一に変装し、車内にいる赤井の妹に接触をしてみたところ、兄は死んだとハッキリ口にしたそうだ。
「まあ、変装させてくれたのは今回、僕の代わりにあの男に化けてくれた仲間ですが」
演技であれば、大女優である彼女がそれを暴くだろう。
けれどその彼女が確認をしているのだから。
あの男は、もう。
「・・・君がここに現れたということは君に恐怖を与える効果は十分にあったようだ」
それより、今はシェリーの事が先だ。
のんびりしていれば、その内ベルモットもここへ来てしまい、こちらの作戦が台無しになってしまう。
それだけは、避けなければならない。