第115章 番外1※
「・・・っ!?」
俯き、ため息だけを漏らす私の顔を再び彼は持ち上げたかと思うと、今度は直後に額に衝撃を受けた。
数秒、何が起きたのか分からず、ただ目を丸くして衝撃のあった額を抑えていたけれど。
ようやく、彼が私の額を中指で弾いたのだと気付くと、何故そんな事をされたのかと戸惑いの目を向けた。
「また余計なことを考える」
不服そうな彼の表情を目の前に、やはり彼は私の考えること全てを見抜くのだなと思い知って。
「ひなたは悪くないと言っただろ」
・・・頭では分かっているけど。
中々、こういったマイナス思考は変えられなくて。
「それに、ひなたを守るのも僕の仕事だ」
彼に余計な仕事を増やしてしまった、という考えもきっと、余計な事考えるというものに・・・なるのだろうな。
「勿論、この日本もな」
「・・・・・・」
凄いな、零は。
抱えるものが多くなればなる程、強くなっていく。
「!」
私はそんな彼の支えになりたい。
今はまだ、迷惑と心配しか掛けられないけど。
いつか・・・彼の心の支えになれれば。
それを誓うかのように、触れるだけの簡単なキスを徐ろに彼にして。
「・・・ありがとう」
こんな私を、傍に置いてくれて。
そう伝えるように、何とか笑顔でお礼を伝えた。
「・・・できれば、今は別の言葉が聞きたいんだがな」
「別の言葉・・・?」
少しの間、驚いた様子を見せた彼だったけれど。
私の唇を指でなぞりながら、そう所望する彼に小首を傾げて。
「あ、愛して・・・る?」
「どうして疑問形なんだ」
自信なく切れ切れに応えれば、彼にクスクスと笑われた。
「あ、合ってるかなって・・・っン、ぅ」
そうでなければ羞恥以外襲ってこない。
けど、合っていてもそれは来るのだな、と俯きかけたところを、キスで阻まれた。
「合ってる」
そう言って私に笑いかける彼の笑顔に、心臓が締め付けられて。
「もう一度」
再度求められた言葉に、鼓動を早めて。
「・・・愛してる」
呟くようなそれでも彼は満足そうに笑って。
「キスは?」
「・・・強欲」
更にまだお強請りをくらって。
「今更だな」
二人で笑いあって。
「ひなた」
私に似合わない甘い時間は。
「愛してる」
静かに溶けていった。
番外1 end