第18章 嘘吐き※
カチャン・・・
部屋に鍵がかけられた音がした。
ゆっくり目を開けると、そこはカーテンが閉まった薄暗い部屋で。恐らく、廊下の一番奥の部屋。
「・・・・・・っ」
ベッドの上に倒れていた体を半分起こし、その上でも後ずさった。
扉の鍵を締めに行った後、透さんはゆっくりとこっちに向かってきて。そして、ベッドに座る私に跨るように乗った。
密室の空間で二人きり、そしてほぼ密着状態。今度こそ逃げられなくなった。
「あまり時間もありませんし、手っ取り早く教えて頂けると幸いです」
「・・・・・・っ・・・!」
私の頬に片手を添わせ、ゆっくりと顔を包んだ。擽ったさにも似た感覚に、ピクっと体が反応する。
「今、どちらで寝泊まりを?」
「・・・友人、の・・・っひぁ・・・!」
いつものように耳元で話され、その返答をしかけた時、突然耳を舐め上げられた。不意のことで思わず腑抜けた声が漏れてしまって。
「そのご友人の名前と住所を教えて頂けませんか」
「それは・・・ん・・・できま、せ・・・っあ・・・!」
くちゅくちゅと音を立てながら舐められる耳に、自然と体が動いて。声も段々と甘さを帯びていく。
「あの男の家にいるからですか?」
透さんが話す度に耳にかかる吐息が媚薬のように体に溶け込んでいく。
私の傍につく透さんの腕を、いつの間にか掴んでいて。その手に力が込められていった。
「と、るさ・・・やめ・・・あっ・・・!」
耳をなぞるように舐め上げられる。
あの気持ちが。
透さんを求めてしまう気持ちが、どんどんと大きくなってしまって。
ここで飲まれてしまう訳にはいかないのに。
「質問に答えてください」
必死に透さんの肩を押して離そうとするが、そんなことできるハズもなくて。
「ちが・・・っん・・・!」
こんな状態で話も何もない。
首を横に振ろうとするが、顔に添えられている透さんの手がそれを許さなくて。
「列車が止まった後・・・、貴女はどちらへ?」
耳を舐める合間にも質問は続けられた。
ただでさえ上手く回らない頭なのに。
透さんからのもどかしい快楽のせいで余計に回らない。
コナンくんからは、知らないの一点張りで良いと言われていたが、それでは通じえない質問ばかりなのが憎かった。