第112章 恋愛で※
「零が私の事を好き過ぎるのが目に見える・・・って、最後に言ったの」
他の人には、そう見えているのか、と。
私が感じているだけでなく、それが零から溢れ出ていることに、喜びと恥ずかしさで熱くなってしまっただけで。
「・・・・・・」
決して彼に頭を撫でられたせいではない、と同時に目で言えば、零は目を大きく丸くして数秒固まってしまった。
「零?」
「・・・何でもない」
私の呼び掛けにハッとするように肩を震わせると、何故か彼は深いため息を吐き、額に手を添え項垂れた。
「ひなたがこの世界にいるまでは、死ねないな」
「?」
ポツリと呟くように。
でも浴室でよく響くせいか、それはきちんと私の耳に届いて。
けれど、その言葉の真意が分からず、小首を傾げて様子を伺っていた最中。
「ひぁ・・・ッ!?」
擽ったさに似た快楽に、思わず間抜けな声が出てしまった。
それはいつの間にか彼が胸の膨らみに手を添え、蕾を軽く刺激したからで。
「固くなってるな」
「言わな・・・っ、い、あぁっ・・・!」
さっきまでの動作がまるでフェイントだったように。
今度は耳元に唇が近付けられると、囁かれては舌が這って。
「零・・・っ」
今日の彼はやけに感情の起伏が激しいな、と脳裏で考えながら、彼に静止をかけるように名前を呼んだ。
胸に添えられる手も止めるように手を掛ければ、湯船のお湯がパシャッと波立って。
僅かでも快楽に歪んだ表情を見せるのが恥ずかしい。
だから彼から顔を背けているのに。
「こことベッド、どちらが良い?」
わざわざそれを覗き込むように問われれば、耳や指先まで真っ赤になってしまいそうで。
「ここは・・・いや・・・っ」
だからベッドが良いという訳ではないけど。
どうせこの熱を、自分でどうにかすることはできないから。
せめて少しでも暗い方を、と目で訴えた。