第18章 嘘吐き※
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コナンくんの言っていた週末はあっという間に迎えてしまって。
この一週間、沖矢さんも外に出ることはなく、ずっと二人で時間を共にした。
といっても、話すことは特に何もなくて。何を聞いてもはぐらかされてしまうし。
たまに料理の話をしたり、普段見ないテレビを見たり・・・過ごす時間が増える度、最初の印象よりは少なからず柔らかいものになっていた。
そんな時でも、透さんのことは片時も忘れることはなかった。
「お待たせ、如月さん」
「あ、おはよう。コナンくん」
白い車から降りてコナンくんがこちらに向かって走ってくる。
もうすぐ迎えに来るという連絡を貰い、沖矢さんに一言告げて工藤邸から少し離れた道路沿いで待っていた。
さすがに蘭さん達には工藤邸に住んでいることをバラせないし。
「いやあ、遅くなってしまいすみません!私、名探偵の毛利小五郎と申します!」
「あ・・・初めまして。如月ひなたです」
コナンくんに続いて運転席から降りてきた顔には見覚えがあった。直接会うのは初めてだったが、テレビではたまに顔を見ていたから。
軽く会釈をしながら、少し警戒心が働いた。最近、探偵というものに敏感になっている気がする。
「じゃあ行こう、如月さん」
そう言ってコナンくんはあの日と同じように私の手を引いた。
あの時の記憶が・・・ミステリートレインでの出来事が思い出されるようだった。
助手席に乗るように案内され、少し気まずいながらもそこに乗り込んだ。
どうやら、先週のミステリートレインで散々な出来事があったから、そのお詫びに園子さんの別荘に招待されたようだ。
テニスは、園子さんの彼氏からテニスデートのお誘いがあった為、その特訓をするとのことで。どうやら園子さんはテニス部らしいが、簡単に倒されては面目丸潰れだから特訓をしに来た、という話だった。
「でも私もお父さんも、園子に教えられるほどテニス上手くないよ?」
「その点は大丈夫!ね、小五郎おじ様!」
後部座席から身を乗り出すように、毛利探偵に確認の言葉を投げかけた。
「ああ、とっておきのスペシャルコーチを呼んでいるからな!」
スペシャルコーチ・・・それなら尚更、私は見ているだけになりそうだな、なんてぼんやり思って。