第17章 侵入者
「さて、コナンくんとの話が終わったようでしたら、今度は僕の番です」
コナンくんの後方でずっと立って話を聞いていた沖矢さんが口を挟んだ。
「彼の事務所から見つけた資料を、僕達にも見せて頂けますか」
それを聞いたコナンくんがあからさまに動揺して。
「外に出たの・・・!?」
その目は心配、というよりも怒りが強そうで。
それに押され気味になりながら、申し訳なくなって。
「お、沖矢さんに許可は貰ったよ。車で近くまで送ってもらって・・・10分だけ・・・」
チラリと沖矢さんに視線を向けたコナンくんは、やっぱり少し怒っているようだった。
それは家を出た私への怒りなのか、許可を出した沖矢さんへの怒りなのか・・・はたまた両方か。
「安室さんに次、見つかったらどうなるか分からないよ」
「知ってる。大丈夫」
透さんだって、今すぐに私をどうこうするつもりはないはず。殺すならすぐにだって殺していただろうし。
ただ私が、彼は組織の人間と知った以上、その事が彼にバレたら・・・
警戒心が上手く持てない私にとって、言葉一つを発するのにもかなりの労力が必要だ。
そんな状態で、もし次に彼と会って問い詰められたら・・・ボロを出さない自信がない。
「・・・それで、僕の質問には答えて頂けますか?」
半分沖矢さんのそれを忘れかけていて。
・・・でも、今は。
「今は・・・話さなくても、良いですか」
沖矢さんが話してくれなかった内容も、あそこには書かれていた。それは、私が知らない方が良かったことなんだろう。
だったら今は隠しておいた方が良い気がする。それに、話してしまうとまた・・・気分が悪くなりそうだったから。
「まあ、彼が僕達の知らない情報をあんな所に置いているとは思えませんしね」
それは私も同感だ。私が知らないことは山ほどあるが、沖矢さん達は組織についてかなり深いところまで知っているようだし。
「じゃあ、僕帰るね」
「あ・・・玄関まで送るよ」
「ありがとう、でも大丈夫!また今週末ね!」
立ち上がる間もなく、コナンくんはパタパタと部屋を後にした。元気だなあ、とその姿に思わず笑いが漏れた。