• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第112章 恋愛で※




「何故逃げなかった、と言ったのは間違っていた。すまない」
「・・・・・・」

謝罪を重ねられ、頬に濡れて張り付いた私の髪を耳に掛けられて。

不意に触れられた感覚に、体はピクリと震えてしまった。

「私こそ、怒って・・・連絡も出なくてごめん・・・」

子どものような怒り方で。
大人気ないこと、この上なかった。

「ひなたが怒っているのは、それだけか?」
「うん・・・?まあ・・・」

それだけだったのか。
自分の子どもっぽさに呆れが出てしまい、何に怒っていたのか忘れかけている始末だが。

「零は・・・?」

彼も流石に怒ってはいるだろう。
心配も迷惑も掛けているのだから。

「僕は別に怒ってはいないが・・・苛立ってはいるな」

というのは、ある種的外れだったようで。

「何に?」

皆目見当もつかない訳ではないが。
一応私も気を付けていたつもりだ。

それでも至らない点があったのなら、詳しくその理由を知りたいと思ったのだけれど。

「色々あるが・・・一番は、さっきの彼を下の名前で呼んでいることだ」
「・・・・・・」

彼の言われたまさかの言葉に、思わず全ての思考と動きが停止してしまった。

真剣に、言いにくそうに。
そしてどこか躊躇うような姿に、堪らず。

「・・・っ、ふふ・・・」
「ど、どうして笑う・・・」

一度は我慢したものの、し切れず吹き出してしまった。

そんなことを、言われるとは思わなかったから。

「ごめん・・・」

零のことだからてっきり、彼のことも調べ済みだと思ったのに。

「ヒロは、苗字だよ」
「!」

まさか憶測と思い込みで苛立っていたなんて。

「彼のことを名前で呼んだことは、一度もないよ」

そういえば、と過去のことも思い出しながらそう言うと、零は少し気まずそうに片手で顔を覆った。

「まあ、この辺りではあまり聞かない苗字だからね」

確かに下の名前だと言われれば、そんな風に聞こえなくはない。

互いに感じなくてもよかったモヤモヤで悩んでいたなんて、至極バカバカしい話だ。




/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp