第17章 侵入者
「あ・・・。一つだけ、聞いてもいい?」
私の言葉にコナンくんが首を傾げた。
それは当日、私が知れなかったこと。
「組織が消そうとしてた人、宮野志保っていう女性は、その・・・透さんに・・・」
はっきりとは言いたくなくて、言葉を濁した。それでも彼等には伝わると思ったから。
「・・・よく分かったね、あの日組織が消そうとしてる人が宮野志保だって」
やっぱり、あの時の女性は宮野志保だったんだ。
半分自信は無かったが、どうやらあの仮説は合っていたようだ。
「まあ・・・ちょっと、ね」
彼等にとっては知ってほしくなかったんだろうけど。もう知ってしまったことだから、と半ば開き直って。
「宮野志保は死んだ。・・・って、組織に思わせることが今回の目的だったんだ。その作戦は上手くいったよ」
沖矢さんと違って的確に教えてくれるコナンくんに、逆に大丈夫なんだろうかと不安になった。
まあ、ここまで知ってしまっていたら言わざるを得ないとも言えるだろうけど。
「だから今度は、本気で如月さんを狙いに来ると思う」
その瞬間、コナンくんの目付きが変わった。
それをハッキリとした言葉で言えば。
「私を殺しに来る・・・ってこと?」
小さく微笑みながらそう確認して。
それを見たコナンくんは少しだけ驚いたように目を見開いた。
「・・・そうだね」
落ち着いた様子に戻り、そう返された。
確認される度、何度でも思う。
私は安室透に殺されるなら本望だ。
それだけ彼を愛している。今まで貰った彼からの言葉や愛や優しさが例え偽りであったとしても。
「望むところだよ」
でも彼を・・・透さんを組織から抜け出させることを試みるまでは死ぬ訳にはいかない。
無理だとは分かっているけど、無い可能性にだって賭けてはみたくて。
「・・・危ないことはやめてね」
「善処します」
コナンくんのその言葉に、上辺だけの言葉を返した。こうなったらもう私はどうなっても良い。
彼らの迷惑にならない範囲で行動することを強く心に決めた。