第17章 侵入者
「実は今週末、園子姉ちゃんや蘭姉ちゃん達と伊豆高原にテニスをしに行こうって話になってるんだ。良かったら如月さんも来ない?」
テニス・・・運動が得意だった兄と違って、私は運動が苦手だ。ましてや球技なんて・・・。
「前に運動得意じゃないって聞いたけど・・・僕は見てるだけだろうから。テニスはしなくても、気分転換に行ってみない?」
そう言われると何だか断りずらくて。
そもそも、外に出ても大丈夫なのか、と沖矢さんに確認の視線を送った。
「良いんじゃないですか。コナンくんもいることですし」
視線に気付いた沖矢さんが私にそう言って。
尚更断れなくなってしまった。
「・・・本当にいいの?」
「勿論。寧ろ、呼んでって蘭姉ちゃん達に頼まれたんだ」
蘭さんに・・・。確かにミステリートレインでは一度部屋に戻ると伝えたきり会っていない。
彼女達にも心配や迷惑をかけてしまっただろうか、と今更不安になった。
「あの後・・・大丈夫だった?」
ミステリートレインでの出来事が気になって思わずコナンくんに問いかけた。彼の表情から読み取れるものは何も無くて。
「実は・・・ー」
コナンくんの口から、あの列車で殺人事件があったことを聞かされて。
だからあの時、車内で事故が起きたというアナウンスがあったのか・・・。
「蘭姉ちゃん達には、知り合いに会って部屋で話し込んでしまった、って言ってあるから」
この子・・・本当に何者なんだろう。
殺人事件について淡々と話したり、蘭さんとの話を合わせたり。到底、小学生ができることとは思えなくて。
「そっか・・・ありがとう」
それでも彼女達に少しでも迷惑がかからないようにしてくれた感謝がある。それに対してのお礼を伝えた。
コナンくんはにこっと笑ってくれて。
「じゃあ、週末のテニスは行くように返事しておくね。時間とかはまたメールするから」
その言葉に小さな笑顔で頷いた。
「でも・・・それだけ伝えにここに来たの?」
それだけなら電話でもメールでも良かったのでは、と疑問に思って。
「昴さんと直接話したいことがあったし、如月さんの様子も見ておきたかったから。・・・倒れたって聞いた時はびっくりしたけど」
その言葉で、また申し訳ない気持ちが溢れてきた。