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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第111章 きっと




「・・・・・・」

帰ってきた時もそうだったけれど。
簡単に寝顔を見せない彼が、こうも容易く無防備な姿を晒すなんて。

安心から、という単純な理由だけなら良いけど。

激務に耐えかねた体が正直なだけ、という可能性もある訳で。

そうだとすると、このやるせない気持ちは公安に向けるべきなのか。

それとも、根絶されない悪へと向けるべきなのか。

「・・・・・・」

彼を安心させられる存在でありたいとは思う。
けど、今のところ心配ばかりかける始末で。

それをふと、考えた時。

「・・・安心、させたい」

私が安心したいんじゃなくて。
彼を安心させてあげたいんだ。

だからこうも不安になって、結婚の文字が出てきて。

書面上でも契約を交わせば、私はもうどこにも行かないと証明できるような気がして。

自己満足、と言えばそうなのかもしれないが。

「・・・零」

疑っていてくれと頼んだのは自分だけど。
そう思わせることは、できればしたくない。

自然と零れるように彼の名前を口にしながら瞼を落とした瞬間、徐ろに彼の手が後頭部に這わされて。

「どうした」
「!」

思っていなかった返答が彼からあったから。
驚き肩を震わせながら、顔を上げようとしたけれど。

後頭部にある彼の手が、それを許さなかった。

「お、起きてたの・・・!?」
「・・・寝かけてはいたんだ」

ということは、起こしてしまったのか。

「ご、ごめん・・・」
「違う。ひなたのせい・・・ではないが、ひなたのせいか」

どっちなのだろう。
言っていることが食い違っている、と小首を傾げた時、私の体は彼の腕で更に締め付けられた。

「何か可愛いことを呟いているから、目が覚めた」
「!!」

そういえば。
無意識だったが、口に出てしまっていた気もする。

この上ない恥ずかしさが下から込み上げてくると、心臓は一気に加速し始めた。




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