• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第111章 きっと




「違わないよ」

きっと傷跡のことを言いたいのだろうけど、それがつけられたのも、結局は体の調子が悪くなったからで。

「零が無理してることには怒ってる。今、体を休めてくれないなら、それにも怒る」
「・・・もう、しっかり休んだが」

彼の休んだ、は休んだ内に入らない。
俗に言う仮眠程度しか取っていないだろうに。

「足りない。絶対に」

それを態度でも全面に出すと、再び彼をベッドに押し込んで、布団で蓋をした。

不服なのは互いに同じだ。
でも私がこれを譲る訳にはいかない。

彼には私を噛んだという事実もあることだから。

利用というと聞こえは悪いが、説得の材料にしたってバチは当たらないだろう。

「零はそこで寝てて」

私が目覚めた時、彼がキッチンから顔を覗かせたということは、料理の途中だったのだろうから。

できるかどうかはさておき、その続きをしようと向かいかけた時。

「!」

またしても私の体がベッドから出ることは許されなくて。

「じゃあ、ひなたも一緒に寝転んでくれないか」

尋ねられているようで、すでに言葉通りの体勢にされている。

彼に手を引かれ、もうスッポリとその腕の中に私を収めていた。

「ひなたの匂いが落ち着くんだ」

離す気なんて毛頭ないだろうに。

更に追い打ちをかけるように言葉を掛けられれば、拒む気も失せた。

「・・・分かった」

そもそも、拒むつもりもないのだけど。

でもせめてお風呂だけは済ませたい、と表情を僅かに歪ませながらも、私も彼の匂いに包まれて。

このままで居たい、という目先の安心感に、つい手を伸ばしてしまった。

「・・・・・・」

それから数十分は経っただろうか。
たっぷり睡眠を取った私がその後、寝られるはずもなく。

寝たフリを続けていた結果、珍しくも彼は私を包み込んだまま眠りに落ちた。




/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp