第17章 侵入者
そしてもう一枚ある女性の写真。赤みがかった茶髪で白衣を着た人だった。
どうやら彼女は組織で科学者として働いていたらしい。
コードネームは、シェリー。
本名は宮野志保。
姉の宮野明美を組織に殺されたことへ不信感を抱き、組織を脱走。
その後の文面からして、どうやら彼女のことは組織が血眼になって探しているようだ。
この女性にも見覚えがある気がする。
でもやっぱり思い出せなくて。
その時の姿は見ていないが、恐らくこの人はミステリートレインで透さんと話していた人だと直感で思った。
彼女を消す為に透さん達はあの列車に乗り、貨物車ごと爆発・・・・・・したのだろうか。その時は沖矢さん達の仲間という人に眠らされてしまい、よく覚えていなくて。
もし仮にあの時の女性がこの宮野志保だとすると・・・その姉である宮野明美と付き合っていたのが、この赤井秀一・・・。
そしてライバル関係だった組織の一員というのが、透さん。
点と点が繋がるようで、私の中ではそこだけでしか繋がらなかった。
透さんは組織に入ってから赤井秀一とライバル関係になったのだろうか。でも、だとしたら一体何故・・・。
「着きましたよ」
沖矢さんの言葉でハッとなり、窓の外へ視線を向ける。考えを巡らせるのに夢中で、工藤邸に到着していたことに全く気が付かなかった。そこはもう門の目の前で。
「すみません、すぐ降ります」
荷物を持って急いで車を降りた。笑顔のまま車で走り去った沖矢さんを横目に、門を開ける。
出入口の鍵を開けて家に入ると、すぐに使わせてもらっている部屋へと駆け込んだ。
再びデジカメを取り出し、今度は自分についての資料を画像を開いた。
本当は見るのが怖かった。
それでも透さんが私のことをどこまで調べ上げたのか気になって。
心臓がバクバクと音を立てて呼吸が乱れる中、 意を決して写真に目をやった。
そこには私の今までの経歴が事細かに書かれていて。
年齢や誕生日は当たり前のように、施設で育ったこと、どの小学校に通っていたか、どこに就職したか、どこに住んでいるか・・・そんなことまで書いてあった。
そして、兄のことも。