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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第17章 侵入者




「別に襲った訳じゃありません」

誤解されるような言い方に強く反発した。敢えて手首ではなく手を掴んだことへ、彼の優しさも感じながら。

「僕は歓迎しますよ」

・・・一瞬でも優しさを感じた自分が憎い。まともに話すと、全て彼のペースに巻き込まれてしまう。

掴まれた手をゆっくり引き離し、沖矢さんから距離を取った。

「さっきの話、聞いてたんですよね?」
「コナンくんのことですか?」

分かっているということは、やっぱり最初からたぬき寝入りだったのか。

でもなんの為に。単純に私をからかう為だったのだろうか。気にはなったが、彼には一々聞いてはいけない気がして。

「・・・それと、一度透さんの事務所に行きたいんですが」

昨夜、悩んで出した私の我儘。

無理を言っているのは分かっている。

それでも何か・・・特に、透さんが嫌っていたという諸星大の情報を中心に、組織と関係ありそうな情報が一つでもあるなら、その可能性にかけたいと思った。

「中々、頑固な性格ですね」
「透さんにもお墨付きを頂いてます」

自慢するところではないけど。

でもここで食い下がると後々後悔してしまいそうだから。

「・・・分かりました。近くまで車で送ります。その代わり、事務所への立ち寄りは10分だけです」

それだけでも時間が貰えるのであれば十分だ。
大体どこに何の資料があるかは把握もしているつもりだ。・・・透さんが処分や移動などしていなければ。

「分かりました、すぐに準備します」
「では僕も、車を回しておきます」

そう言って、各々部屋を後にした。


ーーーーー


「ここで良いですか」
「・・・はい、10分で戻ります」
「お願いしますね」

あの後すぐに準備をして、工藤邸を後にした。

事務所の鍵と、沖矢さんに借りたデジタルカメラ、そして少しばかりの道具だけをカバンに詰めて。
スマホは電源を落として部屋に置いてきた。あれを持ち歩くことはまだ少しだけ怖くて。

近くに沖矢さんが停車したところから事務所まで走って行った。なるべく目立ちにくい暗めのパーカーと帽子を目深に被って。

事務所へ着くと鍵を取り出し、鍵穴へ差し込もうとするが。

「・・・やっぱり」

予想通り、鍵が取り替えられていた。
これはここに何かあることを意味していて。



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