第17章 侵入者
「朝食、食べられますよね。あまり大したものはご用意できませんが」
そう言いながら、今焼いたであろうオムレツを皿に盛り付ける彼を意外な目で見た。
「普段から料理・・・されるんですか」
「ええ、まあ。あまり得意ではありませんが、良い気分転換になりますので」
謙遜している様子の沖矢さんだったが、目の前のオムレツはすごく美味しそうで。
せめてコーヒーだけでもと思い、沖矢さんに場所などを聞いて用意をした。
そんな時にふと、透さんに美味しいコーヒーの入れ方、ちゃんと聞いておくんだったな・・・なんて思って。
沖矢さんとの朝食を済ませ、食器を洗って。スマホに一度目をやると、コナンくんからの返信がきていて。
『そうなんだ、そこなら安全だから安心してね。それと、伝えたいことがあるから、今日学校帰りにそっちに寄るね』
確かにここには沖矢さんがいるから安全そうだ、と無意識に思っては、また彼に頼っていることに気付いて。
小さくため息をつき、コナンくんには了解を示す内容の返信を送った。
その後いつもの部屋に戻ると、沖矢さんはソファーに座っていて。コナンくんのことを伝えておこうと、近寄りながら声をかける。
「沖矢さん、今日学校帰りにコナンくんがここに立ち寄る・・・と・・・」
そこまで言いかけて、彼がそこに座ったまま眠っていることに気付く。
恐らくそうなんだと思う、けど。
あまりにも静か過ぎる彼に、最早生きているのか気になって、そっと耳を近付けた。どうやら息はしているから本当に眠っているのだろう。
かなり穏やかな眠りだな・・・なんて思いながら、暫く沖矢さんの寝顔を見つめてしまった。
よく見ると長い下まつ毛。そしてふと首元に目をやると、ハイネックの隙間から何か機械のようなものが見えた気がして。
「チョーカー・・・?」
そんなオシャレな物をつけるだろうか。
そもそも、付けているならなぜハイネック・・・?
気になって彼の首元に手を伸ばしかけた瞬間。
「・・・!!」
突然手を掴まれた。
いきなり沖矢さんが動いたせいで、かなり驚いてしまって。
「寝込みを襲うとは、意外ですね」
そう言って私に笑いかけた。
たぬき寝入りだったのか・・・と気付いた時にはさっきまでの行動が急に恥ずかしくなって。