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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第109章 一から




「ふ、降谷さん・・・!?」

電話は繋がったまま。
風見さんも零も、互いにスマホを耳に当てたまま顔を合わせて。

そこから漏れてくる声が、何とも無意味この上ない。

「それで?誰といる?」

圧力的にも見えるが、単純な質問にも聞こえる。
ただ、風見さんが怯えているようにも見える為、前者の雰囲気が強い。

「す、すみません・・・!」
「違うの、私が呼び出したの」

慌てて立ち上がり、頭を下げながら謝る風見さんだったが、彼が謝る理由は無い、と私も立ち上がっては風見さんの肩を持って頭を上げようとした。

「・・・別に怒っている訳じゃない」

言葉とは裏腹にムスッとしたような表情で、未だ繋がっていた電話をようやく切ると、それをスーツの内ポケットにしまい込んで。

それと入れ替わるように彼の手に握られていたのは、一つのUSBだった。

「風見、この件について早急に調べておいてくれ」
「わ、分かりました」

そのUSBを風見さんに手渡すと、彼は軽く腰掛けていたベンチの背もたれから腰を上げて。

「話は終わったのか?」

スーツのジャケットを正しながら、私達にそう尋ねた。

ここに二人で居た理由や、何を話していたか等は聞かないのだなと思うと、逆に不気味に感じた。

「えっ・・・と・・・」

風見さんとアイコンタクトで、これで終わりでも大丈夫かと互いに聞いて。

本当は二人とも言いたいことが残っていることは、その後の無言が何より物語っていたけれど。

「終わったようなら、彼女は連れて行くぞ」

それを無視するような形で零は私の手を掴むと、無造作にそれを引っ張って。

「あ、ありがとうございました・・・!」

連れ去られる間際、風見さんに慌ててお礼を告げると、彼は軽く私に頭を下げた。

下げるべきなのは、私の方なのに。

そんな事を脳裏で考えながら手を引かれているが、どこに連れて行かれているのか分からなくて。

「零・・・っ」

不安からつい、彼に声を掛けた。

私の声掛けにハッとした様子の彼は、一度私に目を向けると、焦りを抑えた表情を見せた。



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