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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第109章 一から




「・・・ふふ」

だから思わず、笑いが出てしまった。

「ど、どうして笑うんだ・・・」

一周回った呆れ、というのもあったが、彼も嘘が下手じゃないか、と思ってしまったから。

「違うでしょ。私が手を出したと思ったんじゃないの?」
「・・・っ」

背後から尋ねてくるなんて、彼らしくない。
らしくないという事は、それなりに理由があるからだろう。

零の口篭り方や声色から察するに、そう尋ねたいのではないかと思った。

「出してないし、出されてないよ」

勿論、彼が心配するようなことは一切無かったけれど。
無かったことを証明することは難しい。

それは彼が一番よく分かっているはずで。

「赤井さんは・・・あくまでも協力者」

私の言葉だけでは不十分と分かっているけれど。
今、それ以上のことは残念ながらできない。

「聞きたいのは、それだけ?」

それに、彼が聞きたいのはそれだけではないはずだ。

一年以上離れていたはずなのに、そういう勘は少しばかりは働くようだと、今度は心の中だけで笑った。

「・・・本当に、僕で良いのか?」

彼はそう尋ねながら、私を抱きしめていた腕をスルリと解いて。

背後でベッドにペタリと座り込む姿を、振り向きながら横目で視界に入れた。

「僕がひなたを、縛り付けていないか?」

・・・これも前に、似たようなことを言われたな。
いや、私が言ったのだろうか。

曖昧な記憶を辿りつつ、彼の様子と言葉から一つの言葉が浮かんで。

「マリッジブルー・・・?」

それを口にすれば、落としていた彼の視線が少しだけ上がったような気がした。

「・・・そうだと良いんだがな」

困ったように笑いながら、彼はため息を吐くようにそう呟いた。

実際、私達が籍を入れることはない為、言葉としては不適合かもしれないが。

状況的には似たようなものだろう。



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