第108章 零まで※

「っ、ふ･･･っあァ･･･！！」

一気に落とされるように。
次に彼の動きが開始された時は、最初から強めの動きで。

ゾワッとするような上がる快楽と、目の前に見える彼の肩の傷への複雑な気持ち。

脳内はぐちゃぐちゃで、すぐには修復不可能だった。

「い･･･ぁあっ、零･･･ッ」

突き上げる度、声が押し出される。
もう抑えるという考えなんて微塵も無い。

どこかへ引きずり下ろされそうな感覚と、目の前がチカチカと光る感覚に、何度も何度もおかしくなっていく。

「んっ、く･･･っあぁ･･･！！」

何も言わない。
何も言えない。

彼はただ時折甘い吐息を零し、私は声を部屋に響かせる。

ベッドの軋む音が尚更、背徳感を煽って。

「･･･ッ、ンんっう、あァ･･･！！」

また、くる。

あっという間に、また追い込まれてしまった。

もう、何度目だっけ。

「れい･･･っれ、ぃ･･･ッ！」

容赦なく打ち付けられ、喘ぐか彼の名前を呼ぶしかできない。

苦しいと思う暇すらない。
もう、後は。

「イ、あぁっ･･･ッあァ･･･！！！」

ゆっくり。

確実に。

落ちていくだけ。

「･･･ッ」

その瞬間はやはり、彼にも多少の苦しさがあるらしくて。
僅かに詰まるような声を漏らすと、私を更に強く抱き締めた。

「ッ、あァ、やぁッ･･･！！！」

それなのに。

彼の動きは止まらなくて。

「待っ･･･アぁぁっ、いぁ･･･ッ！！」

快楽、を超えた何かが。
体を蝕んでいく。

「零ッ･･･れい･･･」

途切れそうな声が、か細く響いて。

息の仕方も分からないのに、甘い声だけは自分の意志とは関係なく出てしまう。

言葉では動きを止めてほしいと言ってしまったけれど、今止められては体が疼きそうで。

自分でも、今どうなっているのか。
どうしたいのか。

･･･分からなくなって。