第108章 零まで※

「･･･っ」

指先で、蕾を転がされるように触れられると、一気におかしくなってしまいそうな感覚が上り詰めて。

この瞬間に感じる背徳感には、いつまで経っても慣れない。
今後、慣れることもなさそうだ。

「･･･あ･･･っ」

ピクッと小さく体が震える度、捨てたはずの緊張感と一緒に羞恥心が込み上げてくる。

自分のものではないような声を抑えるように、手の甲を口元に押し当てながら唇も固く閉じて。

「･･･ひなた」

彼の、その甘く囁くような声は好きだけど･･･少し苦手だ。

全てを見透かされているようで、何もかも暴かれそうで、余裕を無くさせるから。

「服を脱がせるから、手を上げてくれないか」

そう言われ、おずおずと両手を上げると、服をガバッと上げられて。

首を僅かに引っ掛けながらも顔を出し、次は腕を引き抜こうとした、が。

「･･･！」

手首辺りで止まってしまった服をそのまま、彼は私の頭上でベッドに押し付けた。

「零･･･っ」

一瞬でこれはわざとだということを察したが、固定された両手はどうすることもできなくて。

「声を我慢したければ、キスを強請ってくれ」

そう言って彼は無防備になった膨らみへと手を伸ばし、蕾を軽く摘み刺激してみせた。

「ひぁ･･･っ！」

甘ったるい声が部屋に響くと、思わずハロくんの寝床の方へと視線が向いた。

また、起こしてしまったら悪い。
けど声を我慢するということが、自分では制御できない。

「･･･っん、んぅ･･･ッ」

どうにか唇を固く閉じて我慢してみるものの、上手くはいかなくて。

彼の舌が蕾を這った瞬間、それは完全に制御不能となった。

「っあ･･･！！やぁ･･･ッ」

ビリビリと電気が走るような感覚。

温かい感触と共に、ゾワゾワと震え上がるような快楽。

それらが同時に押し寄せて来る度、自我というものを無くしてしまいそうで。

快楽に飲まれる感覚を、久しぶりに身をもって味わった。