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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第107章 零から




勿論、行く訳はないけど。

赤井さんの気持ちには応えられないが、きちんと受け止めているつもりだから。

その声と表情が何を意味しているのかは、何となく察しがついた。

「・・・・・・」

こんなの。

・・・行っても行かなくても、赤井さんは傷付くだけじゃないか。

「辛抱強いのは、頑固故か?」

赤井さんのその笑顔に、苦しくなる。
でも、こういう感情は彼に失礼なのだろう。

「・・・赤井さんこそ」

頑固というのか、諦めが悪いというのか。
・・・分からなくは、無いけど。

それに。

「大丈夫って言ったのに・・・」

1ヶ月前、赤井さんにはきちんと確認をした。
零に見つかることは無いのか、と。

私はそう確認したつもりだったのに。

「安室くんとの関係が、だろう?」

白々しく、そう返された。
確かに何がとは言ってないが。

チラリと上目で見るように零へ視線を向ければ、彼はどこか不安そうな目をして私を見つめた。

「・・・っ」

これは、彼の前で言うべきことではなかった。
気付く頃には全てが遅い。

零のことは忘れたのだと、彼の前で言ったようなものだった。

今の私は、赤井さんも零も、傷付ける事しかできない気がしてしまう。

「君の人生は返した。あとは安室くんとゆっくり話すと良い」

まだ、聞き足りないことは沢山あるのに。

そう言って彼は私達に背を向けると、足早に去ろうとした。

「あ、赤井さん・・・っ」

待って。
・・・とは、言えなくて。

ただ、名前を呼ぶことしかできなかった。

私の呼び掛けに、赤井さんは軽くこちらを向き片手を顔の横辺りまで上げると、それを別れの挨拶とした。

「・・・ひなた」
「!」

暫く小さくなっていくその背中を見つめていると、零から意識を戻されるように呼ばれて。

ハッとなり彼に視線を向ければ、優しく穏やかな・・・私の大好きな彼の変わらない笑顔を向けられていた。

「迎えに来るのが、遅くなって悪かった」

・・・零が謝る事ではないのに。

でも、どんな言葉で返せば良いかも分からなくなって。

ただフルフルと、首を横に振ることしかできなかった。



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