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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第107章 零から




「!!」

危険だと判断する頃には、もう遅くて。

手榴弾に似た形の物が彼の目に映った頃にはもう、そこから煙が溢れ出していた。

「くそ・・・ッ」

慌てて袖で口元を覆うが、その煙が襲うのはそこではなくて。

「・・・ッ、催涙か・・・!」

彼の視界を少しでも奪うことが目的だった。

その煙から少しでも離れようと走り出した瞬間、FBI側も同時に動き出していて。

「!?」

彼が気付いた時にはもう、私は別の人物の腕の中にいたはずだ。

まさか本当に協力してくれるとは思ってもいなかった人物の、腕の中に。

「ひなた!ひなた!!」

催涙効果のある煙と同時に、ただの煙も撒き散らして。

数センチ先も見えない状況で、彼は奪われた私の名前を叫び続けた。

零がその後どうしたのかは、聞いていない。
上手く立ち回ったのは間違いないだろうけど。

FBIはその後、仮死状態になっている私を協力者から受け取り、治療をしてくれた。

しかし、私が目を覚ますことができたのは、5日後のことで。

「・・・・・・」

目を覚ました時、まだそこは日本だった。

厳重なセキュリティの中、私の治療は静かに行われていた。

「目が覚めたか」

その時、一番に視界に入ったのは赤井さんで。
隣にはコナンくんの姿もあった。

「如月さん!大丈夫?」
「・・・・・・」

返事をしたくて唇を動かすが、声が出てこない。
そもそも、唇も動かせているのかも分からない。

本当に生き返ったのか・・・と思うと同時に、視界に零が居ないことに寂しさと安堵を覚えた。

「薬の影響がまだあるようだ。無理をするな、と言いたい所だが、今回は少しばかり無理をしてもらうぞ」

・・・この様子だと、上手くいったようだ。
赤井さんの言葉に頷きたいが、今は十数秒意識を保つのが限界のようだ。

お礼も言えないまま、ゆっくりと瞼は降りてしまって。

その際、何か温かいものが伝ったような気がしたけれど。

きっと気のせいだ。

泣きたいのは零の方だろうから。
私なんかが泣いちゃいけないのだから。




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