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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第2章 就職先





「心強い返事で助かります」

資料を出し終えた安室さんは笑顔を崩さないままこちらへ向かい、胸元のポケットから幾つかの鍵がついたホルダーを出した。

「これが事務所の鍵で、他は全て引き出しなどの鍵です」

両手で受けるように安室さんの前へ差し出す。チャリ、と音をたてながら私の手へと優しく置かれた。

「何時までしても大丈夫ですか・・・?」
「そうですね、如月さんの都合に合わせて頂いて結構ですが今日は初日ですし15時まででいかがでしょう?」
「分かりました、では15時までみっちり作業します」
「あ、きちんと休憩はしてくださいね」

倒れては困りますから、と笑いかけられた。
その後詳しくまとめ方や保存先を教えてもらい、あとは作業するのみとなった。

「終わりましたら、申し訳ないんですがポアロまで来ていただけませんか?」
「分かりました、では終わり次第向かいます」

お互いよろしくお願いしますと挨拶を交わし、安室さんは事務所を後にした。

「よし・・・っ」

できれば机に積んだものは片付けてしまいたい。
気合を入れ直してパソコンへと向かった。

正直、安室さんの言う通り難しい作業ではなかった。何かについて詳しく調べたものであったり、都内の路地の地図だったり、あとは料理のレシピだったり。
何に使うのかは私にはさっぱり分からなかったが、そこを理解するのは私の仕事ではない。今の仕事にただひたすら向き合った。

ひと段落してスマホで時間を確認すると13時前。そろそろ休憩するか・・・と立ち上がり体を伸ばした。
座りっぱなしだったせいか所々パキパキ音がする。

「あっ、お昼・・・」

すっかり忘れていた。近くのコンビニまで向かおうと慌てて鍵を持ち、事務所を出ようとノブに手を置いた瞬間、押し戸だったドアが勝手に開き、前のめりに倒れる形になった。

「きゃ・・・!?」

転ける、そう思い反射的にギュッと固く目を瞑る。途端に感じる何かにぶつかった感触。

「おっと・・・!大丈夫ですか?」

安室さんだった。彼の胸の中に飛び込むような形で倒れてしまい、受け止めてくれたようだ。
様子を伺いながら左手を私の背中へ回した。

「す、すみません・・・!!」

勢いよく剥がれるように彼から離れた。一瞬何が何だか分からなかったが、事態が把握できると途端に恥ずかしさが込み上げた。





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