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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第107章 零から




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あれから私のお墓には、零が毎月決まった日付にやってくる。

・・・らしい。

お墓と言っても、海辺の近くにある、兄のそれの隣に立てられた簡易的なもので。

ただ、彼はそれを決してお墓だとは言わず、私に会いに行くのだという。

彼にとって私が、忘れられない存在の一人にしてしまったのは、悪いと思っている。

けど、結果として私を探さないのは、やはり良かったとは思っていて。

幽霊にでもなれば会えたのだろうか。
傍に、居られただろうか。

その方が良かったのではと思うことは、この一年、何度もあった。

「またここに居たのか」

海を眺めながら今日も彼のことを思い出していると、隣から、一人の男に声を掛けられて。

「・・・海は、繋がっていますからね」

その男は煙草を吸いながら、私の隣に腰掛けた。

「また彼の事を考えていたのか」
「違いますよ」

見え見えの嘘を吐いては、波の満ち干きと共に、この気持ちも消えてしまえばいいのに、と目を伏せた。

「・・・会いたいか?」

男・・・赤井秀一は、何の悪気も無さそうに徐ろにそんな事を尋ねてきて。

それに対して眉間に皺を寄せながら睨むと、彼は横目で私に視線を向けた。

「できない事を口にしないでください」
「それは失礼した」

相変わらず謝る気のない雰囲気で返されれば、不服さは更に上がって。

口を尖らせ海へと視線を戻しては、ただ静かに青いそれを見つめた。

「もう、一年か」
「・・・・・・」

彼の言う一年とは。

如月ひなたという人生を終えて一年ということで。

一年前のあの日、私は死んだ。

如月ひなたとしての人生を終え、今は別の名前で別人として、このアメリカで生きている。

それは・・・証人保護プログラムを、受けたからで。




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