• テキストサイズ

【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第106章 ゼロへ




「別れよう」

ずっと、見ることができなかった目を。

彼の目をしっかりと見つめて。

声が震えないように少し強く、そう言った。

全てを、ゼロへ戻すように。

「絶対に・・・追ったりしないで」

私に何があっても。
どこに行っても。

「零は、零のままで生きて」

彼には、強く生きていてほしい。

「・・・お願い」

彼の表情を見ているはずなのに。
そこから感情を読み取ることができなくて。

・・・私の目にはもう、彼がきちんと映らなくなっていて。

「そろそろ時間よ。FBIが動き出すと厄介だから早くして頂戴」

数秒の形だけの睨み合いが続く中、ベルモットのその呼びかけに、僅かに私の視線が彼から外れた瞬間だった。

「・・・ッ、ん・・・」

僅かな隙を狙って、彼は私に唇を重ね合わせた。

「っ、ふ・・・んぅ・・・」

体を突き放したいのに。
彼の手がそれを阻んで。

噛んで抵抗すれば良いのかもしれないが。
色んな理性や感情で、それだけはできなくて。

気持ちを掻き乱すように、彼の舌が私の舌と絡み合って。

くぐもった声が、部屋に僅かに響いた。

「・・・僕が守る」

唇が離れると、彼は真っ直ぐな視線を私に向けながら、一段と強い口調でそう言って。

突然口を塞がれたせいで上がった息を繰り返しては、捕らえられた視線

「絶対に」

最後に一言付け足されると、更に感情をおかしくされた。

・・・赤井さんが一度私を試すような事をしたけれど。

数時間前のあの時とは比べ物にならないくらいには、動揺させられている。

だからと言って・・・何も、変わりはしないけれど。

「お待たせしました。さあ、行きましょうか」

来た時とは違い、今度は私を横抱きにしてはベルモットの元に戻って。

バーボンがそう声を掛ければ、どこか不服そうな彼女の顔が目に入った。

「そこまで執着する理由も分からないわね」
「そうですか?僕は貴女が彼らに執着する理由の方が分かりませんね」

軽い言い合いをしながらも足を進め、外へと出て。

辺りに人の気配は感じられないけれど。
静かに事は進められているのだろうな。



/ 1935ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp