第16章 話合い
「その女性・・・沖矢さん達と何か関係があるんですか?」
「人を助けるのに理由がいりますか?」
聞きたいことは返ってこなかった上、その答えはごもっともで言い返せなかった。
「・・・そもそも、組織とは何なんですか。どうして透さんが組織の一員なんですか・・・」
「組織のことは彼と調べるという話ではありませんでしたか」
「あの話は兄のことについてです。私は組織のことについて聞いているんです」
「根本は同じだと思いますがね」
沖矢さんの言いたいことは分かる。
でも、もう彼に聞くことはできないのだから、すんなり教えてほしい。
できるだけ冷静な自分を装って、沖矢さんに質問を続けた。
「あの時聞いたバーボンやウォッカ・・・あれが組織の人間のコードネームだと、沖矢さん知ってましたよね」
「さあ、どうでしょう」
相変わらず沖矢さんの表情も感情も読み取れない。
それに対して、どこか恐怖にも似た感情が押し寄せて。
「それと・・・コナンくん。あの子はどうしてこのことに首を突っ込んでいるんですか」
ただの小学生ではないことは確か。
でも彼が探偵だから、という理由だけでは片付けられないものがある。
「それについては僕も聞きたいですね。コナンくんに直接聞いてみればいかがですか?」
これについては本当に知らないのか、しらばっくれているのか分からなくて。
「では、組織について沖矢さんが知っている情報全てを、私に教えてください」
「それは致しかねます」
「・・・どうしてですか」
あまりにも呆気なく突き返されてしまうことに納得できなくて。
直後、全てを見透かすような視線を受ける。
「貴女が一番よく分かっているはずですよ」
やはり探偵というのは、ろくでもない。
彼らだって私を信じ切っていないことは分かっている。
あれだけ透さんのことを信じてると言っているのだから、透さんと変な繋がりがあると考えてもおかしくない。
「・・・では最後に一つ、聞いて良いですか」
「なんでしょう」
それは全く関係のないことだと思っていたけれど。
透さんが口にした言葉だから妙に気になって。